はじめから 本日三度目のカフェ。喉が渇いて仕方ない。
連日、雨彦さんに血を分け与えているからだと思う。カフェインばかり摂るなと眉を顰められたから、ブラッドオレンジジュースにするけれど、どうして僕がこんなに気を遣わなければならないんだろう。
きっかけは本当に些細なことで、雨彦さんが吸血しているところを見てしまったのだ。撮影してた建物の、外に続く非常階段の踊り場。外の空気が吸いたくなって、と一人でぷらぷら出ていったら、ばったり。スタッフの一人がこっそり喫煙しているところを口説いたらしい。吸血された時の記憶は消せるから、特に騒がれもせず、こうして撮影やロケのたび、事に及んでいたという訳だ。
「時折ふらふらとどこかに行くのは、そういう訳だったんですねー」
2020