両片想いはナインも喰わぬ最近気付いた事がある。意外にもアンダーソン警部補はスキンシップが多い。主な対象は子供、動物。稀に同僚。但し、同僚に対しては過度なスキンシップは見られない。適度な距離感で接してくる。現に今朝も私に対し、
「おはようナイン。今日もギャビンのお守りか。お前さんも大変だな。」
と肩に手を置いた。ポンポンと軽く叩いた彼はコーヒー片手に自分のデスクへと戻っていった。きっと私は同僚にカテゴライズされているのだろう。先日は犯人逮捕に貢献した私の相棒ギャビンと珍しくグータッチをしていた。コリンズ刑事と肩を組んで談笑している場面に遭遇したこともある。その距離感はなかなかに絶妙で、相手の深い部分に踏み込むギリギリのラインが分かっているのだろう。引き際もあっさりしていて不快感を与えない。彼が優秀な刑事である且つ、同僚に好かれる理由の一つかもしれない。
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