空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:15 光のアーチを潜りながら、白く固められた地面を踏み締める。ほう、と感嘆のため息を吐いた空閑の隣で、汐見は既に見慣れているとでもいうようにいつも通りの仏頂面を晒していた。
「すごいね、綺麗だ」
「お前の地元にだって、これより凄いのあるんじゃないのか?」
「まぁ、至る所にあるんだとは思うけどさ、あんまり興味なかったから」
二度目の冬季休暇を迎え、数ヶ月前に友人同士でありクラスメイトであり部活の同期であり寮のルームメイトでもある空閑と汐見の関係に恋人というラベリングが為された事をいい事に地元に帰るという汐見に着いて彼の地元までやってきた空閑は、今年で百数十回目になるというイルミネーションの下を歩いていた。
そこでは古くからある旧式の電灯で形どられる鈴蘭やライラックの電飾から最新式の電飾を使った光のアートまで、様々な輝きが市街地を貫く緑地である筈の雪が積もる公園を彩り観光客や地元の人々を楽しませている。
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