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    シオ@創作

    @oshiha_numa

    🌧⛓、⛓🌧のぬまにどっぷり浸かっている一般人モブS。🌧、⛓の単体も好き。美味しい。
    健全&ドスケベな二次創作書いてる。
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    シオ@創作

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    ハッピーバレンタイン🌧⛓。
    付き合ってそんなに時間が経ってない時空。
    自分の感情に疎いヌに、彼より圧倒的に短い人生だけどそれでもヌの心に自分という存在を刻み込みたいリの話し。

    フラ...スではバレンタインは愛し合う夫婦や恋人が二人で祝う愛の日、らしいので当宅ヌリにもその方式で過ごしてもらいました。
    pixivに投稿済

    #ヌヴィリオ
    Neuvithesley

    永遠の約束リオセスリはパレ・メルモニアのヌヴィレットの執務室に続く扉の前で立ち竦んでいた。
    時は夕方、珍しく職員の居ないその場でドアをノックしようと手を伸ばしては胸元へ戻す。そんな動きを繰り返す彼の手には、小さな紙袋が握られている。
    どうやら目の前の部屋の主への贈り物らしい。が、いつもの彼らしくなく一歩踏み出すのを戸惑っているようだ。

    (別に、今日渡さなくてもいいんじゃないか?)

    そんな甘言がリオセスリの脳内に広がる。
    柄にもなく贈り物を用意してみたはいいが、改まって渡すのは気恥ずかしい。
    かり。と頬を指で掻き、足の向きを変えその場を後にしようとする。
    しかし、音もなく開いた扉から腕が伸び、背を向けていたリオセスリの上着を鷲掴み引き寄せた。

    パタン。と無情にも目の前で閉じた扉。背中に感じる少し低い体温に、鼻をくすぐる澄んだ水を思わせる爽やかな香り。
    それらを感じながらリオセスリは気まずそうに口を開いた。


    「あー、ヌヴィレットさん。職場でこういったことをするのはまずいんじゃないか?」

    「本日、パレ・メルモニアは祝日により休業日となっている。それをわかっていて、君は訪ねてきたのではないのかね?」


    腹部に回した腕に力を込めつつ、ヌヴィレットはリオセスリの問いに答える。
    確かに、業務中であれば許されない行為だろう。だが今は彼が言うように業務外。何の規律にも、法律にも触れないのだ。
    リオセスリはそれを理由に離して欲しいと言えないことを理解し、自由な両手を上にあげ「はぁ…。わかった、流石に苦しすぎる言い訳だったな」と苦笑する。
    彼に逃げる意志も抵抗する気配も感じなくなったヌヴィレットは素直に腕を離し、数歩後ろへと下がった。


    「ふむ、些か君らしくないと感じたのだが…。
    なぜ私に会わずに帰ろうとしたのか、理由を聞いても?」

    「うっ……。アンタ、そこをドストレートに聞いてくるのか…」


    ガシガシと髪をかき乱し、大きく深呼吸したリオセスリは紙袋を持った手を突き出し「アンタに贈り物だ」と言葉少なに伝える。
    耳の先がほんのり赤く色づき、彼が照れている事がよく分かる。
    自分のために用意された贈り物を、いつまでも受け取らないのは失礼にあたるだろうと考えたヌヴィレットはそっと紙袋を受け取った。
    小さいながら、ずっしりと重みのあるそれ。
    手に取ったままじぃ。と見つめていれば「中身、確認しないのかい?」と声をかけられる。
    リオセスリに促されるまま中身を取りだしたヌヴィレットは切れ長の目を大きく見開いた。


    「…これは、湖光の鈴蘭か?」

    「ああ、気に入ってくれたかい?」


    紙袋から出てきたのはドーム状のガラスケース。
    中には一輪の湖光の鈴蘭が咲いていた。生花ではなく、元素力にて凍らされた鈴蘭はキラキラとした冷気を放っている。
    しげしげと角度を変え、ひとしきり贈り物を鑑賞したヌヴィレット。彼は近くのソファにガラス細工を優しく乗せると、リオセスリと向き合った。


    「君がくれた贈り物は実に良いものだ、感謝するリオセスリ殿。
    だが、どうしてこれを私に?」

    「…今までのアンタなら馴染みは無かっただろうな。今日は2/14、夫婦や恋人達が二人で祝う愛の日…、だ」

    「あいのひ…」

    「俺たちが〝そういう関係〟になってから初めて迎える日だろ?せっかくだから記念に、と思ってね。柄じゃぁないんだが、贈り物を用意してみたんだ」


    そう話したリオセスリの耳は未だに赤い。
    気恥ずかしい思いをすると分かっていても尚、愛する恋人と記念に残る日を過ごしたかったという彼はとてもいじらしい。
    ヌヴィレットは心臓がぎゅ。と甘く締め付けられる感覚に襲われ、その衝動のままリオセスリを抱き込んだ。


    「っ?!ちょ、ぬ…ヌヴィレットさん…?」

    「君の、その心遣いが…酷く私の心臓をザワめかせるのだ。なぜ嬉しいと感じるのに、こんなにも苦しいのだろうか…」


    ぎゅうぎゅうと抱きしめる腕に力を込め「教えてくれ、リオセスリ殿…」と漏れ出た声は小さくか細い。それを聞いたリオセスリは仕方ないなぁ、と言わんばかりの顔で困ったように笑い、青が混じる真白の長い髪をそっと撫で「人はな、嬉しくても心が苦しくなる時があるんだ」と話す。

    (この人、ほんと自分の感情には疎いよな)

    そう脳裏に浮かんだが、それも含めて愛おしいなぁと思ってしまうのは惚れた弱味かもしれない。
    クス。と笑いリオセスリは自分からヌヴィレットの身体に腕を回してみる。
    この龍は、この先何百、何千年と生きるのだろう。その長い人生…いや、長い龍生の辿る道はどうか穏やかであって欲しい。
    花言葉で選んだ鈴蘭だったが、今浮かんだことを考えるととてもいい選択だったと思える。

    (この先永遠に、アンタを愛すると約束する。随分ベタな約束だが、それでも永遠を誓わずにはいられない。人である俺の寿命は短いが、短い寿命なりにアンタの〝心〟に俺という存在を刻み込んでやるさ)


    「ハッピーバレンタイン。ヌヴィレットさん」








    湖光の鈴蘭の花言葉


    「待ち望む」「永遠の約束」
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