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    Rahen_0323

    @Rahen_0323

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    Rahen_0323

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    記憶喪失になるカキツバタ、を書こうとした導入です。導入なのに長くなってしまった。早く記憶失ってくれ。
    捏造妄想自己解釈過多、未来if要素も含まれます。なんでも許せる方向け。
    ポケモンのゲットとかそういうのが伴ってもポケモンの調査はポケモンの為でもあるから、頼んでくる相手とか状況にもよるかもしれないけどこの子達は大概普通に引き受けそうだなあ、と思った(本文の補足)。

    残花を手にあの酷く眩しくも黒い日々が過ぎ去って、ブルーベリー学園の皆が進級・卒業してから暫く。
    休学していたのもあり単位がギリギリだったもののなんとか二年生になった俺、ブルベリーグ暫定二位のスグリと、なんだかんだグダグダ言いながら漸く三年生へ昇った現チャンピオン、カキツバタは、二人テラリウムドームのポーラエリアに来ていた。
    「はーっ、ダリィよおーかったりぃよおー」
    「文句言うなリーグ部長。仕事サボってたツケが回っただけだべ」
    腹立たしくも少し誇らしいことに、この男は俺に負けてから多少は爪を研ぐことを思い出せたようで。前チャンピオンである交換留学生、ハルトが去った後正式にチャンピオンに戻り、皆の進言もあってブルベリーグに復帰出来た俺を実力で叩きのめした。現在戦績は三対七くらいの割合でカキツバタが勝っていて、俺はランク二位に甘んじる他無くなった。
    悔しさは勿論あるけれど、それ以上に(本人には絶対言ってやらないが)彼とのバトルは楽しくて。彼とも部員とも打ち解けて、なんだかんだ充実した日々を送っている。

    さて、そんなリーグトップに立つ俺とカキツバタがたった二人きりでポーラエリアに来ている理由だが。

    「それにしてもよお。疑いたかねえが本当に見間違いじゃねえのかい?『エリアゼロのパラドックスポケモンがテラリウムドームに出現した』なんてよ」

    「ああ、間違えるわけねえべ」

    そう。このテラリウムドームで起きている異変の調査だ。

    「目撃者は多数居るし、どいつもパラドックスポケモンなんて見たことある筈が無え。それなのに特徴を捉えた情報さ出してた。……原因まではハッキリしないが、ヤツらはきっとテラリウムドームに蔓延ってる」
    「んー、オイラもハルトにこっそり見せてもらったことあるけどよ。どいつもプリンだとかムウマだとか、現代のポケモンとそっくりだろぃ?『間違えねえ』と断言は……」
    「いいや、俺は断言する。現実逃避してえのは分かるが受け入れろ。パラドックスポケモンは、確実にここに居る」
    俺が自身の服を握り締めながら立ち止まると、カキツバタはいつになく真剣な面持ちで「根拠は」と目を細めた。
    雪が降り頻る中、いつかのような喧嘩腰ではなく淡々と意見をぶつける。
    「監視カメラの映像と、目撃者が撮った写真。お前も見たろ」
    「ああ、見た。だがありゃあ殆ど影しか映ってないから証拠としては使えない、ってドーム部と研究員が言ってなかったか?」
    「側から見たらそうだべな。でも、俺は……本物のヤツらと間近で会った。なんならバトルだってした。……分かるんだ。あの、寒気がするような、禍々しさと異質さ。現代じゃ有り得ない過去のエネルギー。カキツバタだから言うけど、こっそりハルトとねーちゃんにも確認さした。………間違いない」
    「ブライア先生はあんまりハッキリしてなかったが」
    「あの人は、エリアゼロ行った時はテラパゴスとオーリム博士の研究資料に夢中だったから……興奮で記憶吹っ飛んだのかも」
    「………………否定出来ねえのがおっかねえなあ」
    信じたくないのか、カキツバタはらしくもなく慎重だったけれど。そのうち「まあキョーダイも言うなら」と認めてくれた。俺とねーちゃんへの信用は?いや俺も俺で当時はブライア先生と同じくらい余裕無かったし、信憑性疑われるのも仕方ねえけど。
    リーグ部と学園を愛して卒業して行った姉には黙っておくことにした。
    「で。元チャンピオン様が忘れてねえか一応確認だが」
    「それ止めろ」
    「オイラ達の任務はソイツらの捕獲だよな。パラドックスポケモンとやらの強さは知らねえが、これオイラ達二人だけで来るのって相当リスクあるんじゃねえの?」
    「まあそうだな……でも学園で一番強えのは俺達だし、先生達も戦えない人多いし。言っちゃ悪いが、下手に人数増やしても足手纏いというか」
    「そらご尤も。でもツバっさん的には今直ぐ引き返した方がいい気がするけどねぃ。本土かパルデアリーグに協力を求めるなり、やり方は色々あるんでねえの?」
    「なんだ、さっきから思ってたけどらしくねえ。なに弱気になってんだチャンピオン」
    「弱気とかじゃなくて現実的な話よ」
    神妙な顔でチャンピオンは首を振る。今更自分や俺の実力を見誤ってることは無いだろうが、それ故に気が進まないようだ。
    「今ならまだ戻れるぜぃ。オイラの責任にしていいからよ、帰らねえか?」
    「ここまで来てなんだべそれ。先生達に言いなよ」
    「言ったよ、言ったっての。でも『チャンピオンなら大丈夫ですよ!』『期待してますからね!』で終わり。かと言ってどんどん先行くお前だけ残して戻るワケにもいかないし」
    ……前々から思ってたけど、この学園の大人はちょっと問題あり過ぎるよな。カキツバタも信用されてるのかされてないのか。
    ただ本当に本気で渋っているようなので、俺は少し悩んだ。
    「……そんなら、捕獲は諦めて一旦探して様子さ窺おう。撮れたら写真か映像撮る。ダメそうだったら先生達に連絡して引き揚げる。どうだべ?」
    「うーーーん」
    「どの道長期間放置するのも良くねえだろ。なら調査の手伝いくらいはしねえと。俺らは平気だとしても、他の生徒が襲われて怪我するかも」
    そらそうだけど、問題は人員の数と質の問題で、お前まで危険な目に遭わせるのは。学園トップは小声でボヤいて。
    でも、俺に引き返す気が無いのは察したようで、溜め息を吐いた。
    「へいへい、分かったよ。マジで戦うのは避けるってんなら」
    「さっすがチャンピオン様。んなら行くべ」
    「お、煽るね〜」
    「仕返しだ」
    なんとか説得に成功したと安堵しながら、再度歩き出した。
    サクサクと雪を踏む音が響く。今日は今回の問題の為にテラリウムドームは封鎖されていた為、俺達以外に人は居なかったし足跡もポケモンのものしか無かった。
    出発前にも確認したけれど、道中で改めてお互いの持ち物や手持ちの技構成を再確認して、どんどん奥深くへ進む。
    「中々見つからないねぃ」
    「うん……他の野生のポケモンも居るし、隠れてるのかも。凶暴で知能も高いだろうから……」
    早く情報を得て帰ろう。この異常事態だ、長居が危険なこと程度なら俺でも分かる。
    「スグリ、寒くなったら無理せずガオガエンでも」

    そのタイミングで、地響きのような音が届いた。

    「!! ブリジュラス!!」
    「わぎゃ!?」
    即座になにかを悟ったらしいカキツバタが、俺の背後にブリジュラスを繰り出し、

    ブリジュラスに、巨大な牙を携えたドンファンのようなポケモンが激突した。

    「やれやれ、どうやらお出ましみたいだねぃ!」
    「コイツは……イダイナキバ!!」
    本気で俺を吹っ飛ばす気で奇襲したのは、イダイナキバ。例のスカーレットブックにも載っていたポケモンだ。
    カキツバタのブリジュラスが咄嗟に庇ってくれたお陰で無傷で済んだものの、流石にゾッとする。もしあと一歩遅かったら、俺今頃……!
    「見つからずに証拠撮れりゃ良かったのにな!こうなりゃ背向けるのは却って危険だ!やるぞスグリ!」
    「あ、ああ!ニョロトノ、カイリュー!」
    「ブリジュラス、そのまま抑えろぃ!出て来いキングドラ!」
    俺達は已むを得ず戦うことを決め、ポケモンを繰り出した。
    イダイナキバ一匹だけならまだなんとかなる!他のポケモンっこが現れる前に、急いでゲットを……!!

    とか考えてたら、地面からスナノケガワが、空からハバタクカミが現れた。

    「おーおーこりゃあ……!!」
    「大歓迎されてんなあ!!」
    次から次へと多数のパラドックスポケモンがやってくる。
    全員潜んでいたのか、今し方出現したのか。それすら分からない。
    「薄々思ってたけどよ!これブライア先生がエリアゼロから持ち帰った、なんかテラスタルのエネルギー?みたいなやつの所為じゃねえの!?」
    「癪だけど同意!テラリウムドームに使われたのは大分前だけど……でも他に原因も見当たらねえし、その線が強いだろうな!」
    あっという間に囲まれて背中合わせになる。
    ここにはハルトもねーちゃんも居ない。他のリーグ部員も。大人も。
    一瞬、『カキツバタの警告通り戻れば良かったかも』と頬を引き攣らせた。
    「スグリ!お前今スマホロトム持ってるよな!?先生達に連絡!オイラはとりあえず動画撮っておく!」
    「りょ、了解!」
    俺も「最近頑張ってるから」と二年生に上がると同時にスマホを買って貰えていた。緊急事にも簡単に連絡出来る便利さに救われる。
    同時にスマホロトムを起動した瞬間、パラドックスポケモン達は飛び掛かってきた。
    「カイリュー!!"ぼうふう"!!」
    「ブリジュラス、"ワイドブレイカー"!!キングドラ"れいとうビーム"!!」
    攻撃をギリギリで躱しながら、手持ち達に指示を飛ばし相手を弱らせていく。
    「スグリ!オイラは片っ端からボール投げる!一匹ずつ体力を削ってくれぃ!」
    「はあ!?」
    「安心しろって!ブリジュラス達にサポートさせっから、っと!」
    言いながら、カキツバタは新たに飛び出したチヲハウハネにクイックボールを投擲して。
    一発で捕獲した。
    「スピード勝負だ!滾ったままじゃ帰さねえよ!」
    こんな状況で笑ってるチャンピオンに呆れつつ、頷いた。
    そこで電話が通じるので、俺は戦いながらなにが起きているかを伝えた。
    「なんとか捕まえられるだけ捕まえます!ただ全員は無理かも!」
    『そこまで大量のパラドックスポケモンが……!?』
    『見える限りですら想定を遥かに超えている……!分かった、ひんしにしてくれても構わない!とにかく身の安全を最優先に!』
    今更安全云々って、と言いたげにカキツバタが表情を歪めた。俺は素直に返事をして、通話は切らないまま仲間に指示を下した。
    「ニョロトノ、"ウェザーボール"っ!!」
    流石にチャンピオン二人だ。危ない場面も多々ありつつ、着々と確実にパラドックスポケモンは倒れ、またボールへと捕獲されていく。
    可哀想だが逃すと後々大変なことになりそうなので、逃げようとするサケブシッポを俺はハイパーボールで捕獲した。
    「あと二匹!!イダイナキバとアラブルタケだ!!」
    「最後まで気ぃ抜くなよ!!」
    援軍を待つまでもなく、しかし漸くといった心情で最後の二匹と向かい合った。
    動き回る余り俺とカキツバタは少し離れた位置に立っている。その為、イダイナキバをカキツバタが、アラブルタケを俺が引き受けた。
    「新手が来る前に終わらせる……!」
    「頼むぜい皆!」
    皆それなりに消耗してる。俺はともかくカキツバタは残りのボールも少ない筈だ。道具、は使ってる暇無えな。
    けれど、パラドックスポケモンでもたった一匹なら勝機は強い!油断はしねえけど、弱気になることもない!
    「ガオガエン、"かわらわり"!!」
    「キングドラ、"れいとうビーム"!!」
    技を叩き込んで弱らせて、ハイパーボールを使い。
    なんとかゲット出来た。
    俺達は即座に転がるボールを拾い、合流して再び背を預けるように構えた。
    「…………………………」
    「…………………………」
    ポケモン達が何匹も目を回す中、暫しそうして。
    やがて、一段落したことを悟り一気に力を抜いた。
    「ナイスファイトだぜぃ、スグリくん」
    「そっちこそ。なんだかんだ捕獲さしまくったな」
    「まーどうせならねぃ」
    スマホロトムの向こうで歓声がした。結構大変だったのに他人事みてえに。
    なにはともあれ、潜んでたの全員が出て来た、かどうかは分かんねえけど。一先ず安心していいらしい。
    カキツバタはポーチから回復アイテムを取り出し、自分のポケモンを手早く癒してから倒れるパラドックスポケモンにも向かう。俺も数瞬遅れて続いた。
    「……この子達、どうするべ?」
    「んー、ボールに入れた方が皆は安心だろうが……オイラもう在庫少ねえし、かと言ってまた新手が来る可能性も考えたらスグリのも使って欲しくねえかな」
    「じゃあ、」
    どうすんだ、と訊こうとしたら、カキツバタは徐に小袋を取り出した。
    「スグリ、息止めとけ」
    「! う、うん!」
    言われた通り口と鼻を塞げば、彼も息を止めて。
    袋の中身の粉を振り撒いた。
    すると、回復してこちらを睨みかけていたパラドックスポケモン達はコテリコテリと倒れていく。
    「えっ……」
    「"ねむりごな"よ。一応持って来てた。流石にバトル中に使うのは無理あったけどねぃ」
    用意周到な男だ。でも助かった。
    これなら暫くは彼らも起きないだろうし、ボールに入れなくとも運び易い。
    『もう直そちらに到着するよ!ありがとうスグリくん、カキツバタくん!』
    「えと、気を付けて来てください!」
    「次からはもっとちゃんと人材考えてくれよ?」
    兎にも角にも、俺達の役目は終わった。原因究明とか出自とかは研究者達に任せるとして。
    一件落着、かな?良かった良かった────

    直後、ゾワリとした寒気が全身を駆け抜けた。

    「えっ、」
    「……!?」
    カキツバタも同じく"なにか"を感じたようで、再びボールを握る。

    なんだ、なんだ今の、この感じ、この空気、まるで、エリアゼロ、いやそれ以上の

    重く恐ろしい雰囲気が辺りに充満して、俺は怯えながら、

    ふと真横を見た。

    そこには、テラパゴスのような、しかしなにかが違うサイズも形も底知れない"なにか"が居た。

    「っは」
    「スグリ!!」
    咄嗟に動けず固まる。

    瞬間、カキツバタが俺に向かって飛び込み彼と俺のポケモン達が全員飛び出し。

    謎のポケモンは強い光を放った。

    「!?」
    「スグリ、目ぇ閉じろ!!キングドラ"あまごい"、ブリジュラス"エレクトロビーム"!!!」
    潰されそうな光に言われる前から目を閉じていたが、カキツバタは俺を庇いながら構わず声を張り上げた。
    「オノノクス、"アイアンヘッド"!!」
    え、お前なにして、まさか戦う気……!?
    思わず瞼を開けば。

    カキツバタは輝くそれに一切怯まず、目を瞠って正面から見据えていたのだ。

    謎のポケモンは奇妙な鳴き声を上げる。
    叫びたくなるその異音に耳を塞いだら、カキツバタの手まで被さった。
    「バッ、なにしてんの!?お前も、耳と目が!!」
    「…………!!……、」
    「えっ!?なに言って」
    間も無く俺達を守っていたブリジュラスとカミツオロチが崩れ落ちる。

    そして、謎のポケモンの光が一気に飛び込んだ。

    チャンピオンが俺に覆い被さるようにしてくる。

    「〜〜〜っ!!マ、スターボール、を……!!」

    明らかな異常事態に、調査の為に渡されていたマスターボールを掴もうとしたが。


    数秒後には、嘘のように辺りに平穏が戻っていた。


    「…………………………えっ?」
    眩みそうな光も消え、俺は自身の耳から手を退け呆然とする。
    「消え、た?」
    ……なにが起きた……?さっきの光は、ポケモンは一体?いや、アレは本当にポケモンだったのか……?
    なにかのエネルギーでも放出していたのか、俺達のポケモンは倒れていたものの直ぐに起き上がる。皆体調等に異変は無さそうだ。良かった。
    「おい、カキツバタ。もう平気だから退いて」
    「………っ、っっ、」
    「なんか電波障害起きてんのか……?電話も切れちまったみたいだし、一旦どうにか安否確認……」
    「ぅ、ぁぁ…………」
    「……?カキツバタ?」
    俺は俺の上にのしかかったままの男に呼び掛け、ふと気付いた。
    何故だか目をギュッと瞑り、呻いて苦しんでいた。
    「!? カキツバタ、どうした!?大丈夫!?」
    慌ててその薄い肩を掴む。揺さぶっても返事は無い。
    それどころか段々絞り出すように悲鳴を上げ始めて、頭を抱えて蹲ってしまった。
    「か、カキツバタ!!頭さ痛いの!?」
    「つっ、あ、ああぁ……!」
    「カキツバタ、おい、返事しろって!!」
    まさかさっきのポケモンが、なにか……!?あの光が技だったりしたんだべか!?
    倒れないよう支えながら、スマホロトムを急かして連絡を急いだ。

    なんか、どうしてか、何故だろう。とてつもなく嫌な予感がした。

    「ブライア先生!?早く来て!!カキツバタが、カキツバタが……!!」

    浮きっぱなしだったカキツバタのスマホロトムを止めながら、早く来てくれと助けを求める。
    心配そうに俺達の様子を窺う仲間達は、悲痛な鳴き声を上げた。
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