タイトル未定 福沢さんがいない。
毎朝、起きた時にその事実に絶望する。
夢では色鮮やかな世界で福沢さんに会えるのに、起きたら視界は白黒の二色展開になっている。
僕が最近寝ているのは福沢さんが使っていた部屋で、まだ辛うじて福沢さんの匂いが残っている。
この香りもいつまで感じられるのか。
いつかわからなくなるのが毎日怖くてたまらない。
「……っ、….…あぶな」
布団から上手く起き上がれず、倒れそうになった。なんとか咄嗟に踏ん張った。
でも、柔らかいから倒れても大丈夫だったかも。
この世界がもう怪物の世界ではないと僕は知っている。頼りになる仲間もいる。友人だって出来た。
それなのに、福沢さんがいなくなってからどうしても足元がおぼつかない。
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