花恋甘檻物語(1)――プロローグ――
××日目
暗闇のほうで、泣き声が聞こえてきた。
気になったので、俺は、泣き声がするほうへ足音を立てずに走る。
しばらく走っていると、暗闇の中にポツンと緑色が見えた。
俺がだんだんその、緑色に近づくにつれて、その緑色は、人、だと分かった。
緑色は、そいつの髪の毛の色だった。
緑色の髪の毛をした人は、紫色の瞳から、たくさんの水があふれ出ていた。
きれいだ。
欲しい、俺のものにしたい。
そう思った。
「おい、お前‥」
「ぎゃああああああああああああ]
「・・・・・・・!??」
緑の人は、俺の顔を見るなり、飛び跳ねて、叫びながら、走り出した。
なぜ?
「ま、待て!」
俺は緑の人を追いかけた。
絶対に捕まえてやる。
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