恋するベーカリーオールマイト【オル相】 社畜の相澤が終電を逃し徹夜で仕事をしてそのまま会社に居座ろうかと思いつつ、いい加減臭くなった服を着替える必要があるかと始発で帰る途中、家の近くに明かりがついて良い匂いがする店があることに気付く。
前を通りかかるとこじんまりとした白壁の建物に小さな看板。ベーカリーオールマイトと書いてある。
木のドアにはclosedの札が掛かっているが、ドアについたガラス窓からは中の様子が見えた。
(こんなとこにパン屋あったのか)
必要なものはコンビニで買えば良いと考える相澤は寝に帰るだけの家の周りに何があるかなどに気したこともなかった。
(……腹減ったな)
昨夜もデスクの引き出しに常備したゼリー飲料を時間を空けて二つ飲んだだけ。家に帰って冷やしているゼリー飲料を飲もうと止めていた足を動かした時、突然パン屋のドアが開いた。
10817