……確かに、彼の能力は強力だ。
“蒼”や“赫”で、地面や建物が抉れたり崩れたりすることは納得できる。
だがここまで広範囲、かつ大規模に地形を破壊する程のものは見たことがない。」
荒廃した呪術高専、その敷地内の森を慎重に進みながら、話題は自然と五条悟のものとなる。
それぞれの表情は固く、雰囲気は重苦しい。
エミヤの低く響く声音の中には、信じ難いという気持ちが見え隠れしていて、立香は心の中でそっと同意した。
「それはあくまでカルデアでの戦闘だからだ。
本来の世界を離れた事、カルデア──ひいては立香との契約した事、あるいはサーヴァントとなった事が“縛り”となって、悟の能力にある程度の制限を掛けている。
もし悟が全力で術式を使えば、味方を巻き込まないとは約束できないからね」
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