『断崖に立つ(仮)』ドラマイ四十八手ってさ、いくつかカブってるよな?
と、そいつはオレの顔を見た第一声がソレだ。
地元の高校生たちに呼び出されても全く気にも留めなかった。
虚勢を張る様子もなく、ビビってさえいなかった。
その理由は、すぐにわかった。
向こうには倒れた男たちが足元にうずくまっている。佐野よりもずっと身長は高く体格がよかった。
佐野万次郎はオレよりずっと小さいくせに、オレよりずっと強かった。
目が覚める思いだった。
佐野は『無敵』だった。
直感だった。こんな男に、この後人生で出会うことはない。
だから、オマエの背中についていきたいんだ。
その小さな背中に言おうとした。
でも、言うより早く佐野は振り返った。
「オレの友達になれ、ケンチン」
2807