もん宵 お泊り(まだ本番じゃない)「ん…。ふあ~あ…」
すっかり暗くなった部屋に、大きな欠伸の音。その発生源である蝙蝠の少年、洞窟音 宵は、伸びをしながら身体を起こした。
「あれ、真っ暗…。もう夜かぁ」
顔にかかった布を押さえながら、周りを軽く見渡す。
「…あれ?」
宵がベランダの方へ目をやると、そこには大きな人影が映っていた。ここは自分の部屋であり、本来であればここにいるのは宵一人のはずである。
普段なら不審者を発見したとして通報してもおかしくない状況であるが、宵は布団から立ち上がると、ベランダの方へと迷いなく向かっていく。
そして、レースカーテンの向こうで煙をくゆらせている人影に、嬉々として声をかけた。
「もーんよさん! おはよ!」
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