傷の舐め合い ウォーモンガーズの拠点で、執事がにっこりと笑っていた。恭しく一礼して、頭を下げた状態で「ごきげんようございます」などと言う。
嫌に上機嫌なヤギの執事は、サモナーをかばうように立つ太陽神を見て、それは楽しそうに……噴き出すのを堪えているかのように満面の笑みを浮かべ、大袈裟に両手を広げてみせた。
「おお、なんと仲睦まじいお二人でしょう! 何も覚えていらっしゃらないサモナー様と、何も残っていらっしゃらないテスカトリポカ様。うつろなお二人が互いを支えあっていらっしゃるご様子に、このメフィストフェレス、心から感じ入っております!」
「感動しているところに水を差すようですまないが、サモナーの本質を映すことのできぬ、劣悪な鏡の遠吠えだと解釈したが、あっているかね?」
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