ふわりと温まった頭で揺れるグラスの光を眺める。
仕事の合間を縫って駆けつけるバーというのはモンドの醍醐味だ。
まるでテイクアウトを取るような少ない時間でも一つ飲んで店をでる。まあそのまま飲み始めると言うのもよくある話だ。
西風騎士団の隊員たちも例に漏れず、昇格するほど呑める時に飲んでおくというのが鉄則だ。騎兵隊長は遠征にかっ攫われた隊員を惜しみながら足早にグラスを傾けた。かすかに泣いている胃を感じつつ、3分ほどの余韻を頬で測る。体の不便さに辟易するがこれは流石に軽食を取らなければ…そう、例えば仕事が早くて優秀でお人好しな赤い薔薇の少女など如何だろうか。断るはずもない彼女のことを思い浮かべればほんとに誰とも分け隔てなく接するいい子だなと感心する。
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