ハイエナ後輩は先輩を食べたい 嫉妬ブッチとお仕置き編(全年齢版)「――では、こちらの書面にて契約成立ということで」
分厚い書類の束を揃え、にこりと向かい側に笑いかける。重要取引先の恰幅のいい専務が満足気に頷いている横で、直接やり取りを交わしていた担当部長も穏やかな笑みを浮かべていた。
無事商談成立。何度も足を運び慎重に進めた甲斐あってなかなかの好条件でまとめることが出来た。我ながら拍手を送りたい。今夜は祝杯としてとっておきのお酒を開けよう。
そんな胸の内を気取られぬよう涼しい顔で書類をしまう。隣で資料を片付けているブッチくんをちらりと見やると、彼の緊張した面持ちもいくらか解れているようだった。普段飄々としているものの、こんなに大きな案件はさすがに初めてだったからか珍しく表情が固かったのが印象深い。貴重だから目に焼き付けておこう。
20799