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    伏黒

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    MEMOいたふし。渋谷より前。虎杖のことが好きな伏黒、そのことを察している虎杖、両方から話をきいている釘崎が映画を見たり願いごとについて話したりします。
    (ワンドロで書いた3篇を2021年6月7日にピクシブにまとめた文章。これは同年12月に本にした際のバージョンです。本では最初の章でした)
    摸造のピクニック2018.10

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     目を開ける。テレビ画面には映画が流れている。光が淡い。淡い光のなか、頭に布をかぶった子どもが顔を傾けてテーブルを睨んでいる。テーブルには液体をたたえたコップ、空のコップ、乾いたふうな瓶が並ぶ。セリフはない。コップがすべるように動いて子どものそばを離れていく。ひとりでに。子どもがなんらかの能力を使って動かしているということなのかもしれない。子どもの標的は瓶に、別のコップにと移り、テーブルに顔の側面を預けてしまった子どもがどこを見ているのか、もうわからない。空のコップはテーブルから落ちてしまった。
    「あ、起きた?」
     ベッドにもたれて画面を見つめる虎杖がこちらを振り向かないままで俺に訊ねる。音を立てたりしたつもりはなかったが、気配で察したのだろう。こいつのこういうところは獣みたいだといつも思う。
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    kyosukekisaragi

    DONEワンライお題:「離さない」

    虎杖への想いを自覚しつつ、友達という立場で学校生活を過ごすことに甘んじていた伏黒。しかし、ふとしたことから虎杖がモテることに気付き、虎杖に恋人ができた時のことを想像して恐ろしくなってしまう。
    伏黒は五条に頼み込んで、卒業後、虎杖に黙って海外任務に逃亡をはかったが――。
    後輩の結婚式で、伏黒くんが嫌々虎杖くんと再会しちゃうお話。
    Silent escape. 披露宴開始の五分前というギリギリに滑り込んだ先に待っていたのは、伏黒が恐れていた通りの席順だった。
    「伏黒、久しぶり!」
     パーティー仕様なのか、前髪を少し上げた虎杖は、中に仕込んだ橙色のシャツも似合い、腹が立つ程に決まっている。三年前に会った時より、更に男振りが増したように見えた。
    「元気してた?」
     反面、顔を合わさなかった期間なんてなかったかの如く、虎杖の人懐こさは変わらない。太陽のような笑顔相手に、話しかけんな、とも、今最悪の気分だ、とも言えず、伏黒はぼそりと返した。
    「――それなりに」
     たった三人しかいない同級生なのだから、虎杖の隣に自分が配置されるのは予想はついていたものの。苦々しい気持ちで席に着く。これが嫌だったから、伏黒は披露宴の受付もギリギリに済ますように調整していた。宴が始まってしまえば、虎杖とそこまで話す必要がないと踏んだからである。伏黒は今日の一個下の後輩同士の結婚式について、何処までも打算的だった。
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    yrtrmn

    DONE頂いたお題で『洋服の買い物に行って服合わせながら伏黒やっぱりカッコいいんだなぁ、と隣で思ってるゆじ君のめぐゆじ』です。ありがとうございます🌷
     伏黒が任務で死にかけたらしい、という連絡が回って来たのが昨日の夕方。一瞬目の前が真っ暗になって、血の気が引いた。それで、死んではないんですよね、と固い声で聞き返したところ、死んではないです、それよりアドレナリンが出て目が物凄いことになっていますね、と電話の向こうで伊地知さんが怯えたような声を出した。たしかに、あいつ限界超えるとマジで顔怖いもんな……と思って、そしたらなんだか気が抜けて、変な笑い声が出た。

     特級が一体。最初の報告だと悪くて一級だという話だったのが向かってみればエラいことになっていたという。とにかくかなりお疲れのようですので、高専に寄らずお家まで直接送り届けますねと伊地知さんは言って電話を切った。伏黒ではなく伊地知さんが電話をかけてきたのは、暴れ回る呪いのせいで伏黒のスマホと家の鍵が吹っ飛んで行方不明になったからだ(財布はかろうじて生存)。伏黒ん家の合鍵を持ってる俺に連絡するのが一番手っ取り早かったんだろう。あいつ、厄日なんかな。
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