akina_daidai
PAST2023/5/20ロモそくで、うず潮様 @uzushiono16 とコラボさせて頂いた折り本『ただいまの贈りもの』の表紙・裏表紙です。(差分あり)うず潮さんが表紙イラストのラクガキに素敵な小説を書いてくださったのがきっかけで、自分が「折り本にしましょう!」と提案したところ快諾して頂けたため、裏表紙も追加して夢のコラボが実現しました。 4
うず潮
DONE5/20ロモそくで企画したあきな様(@akina_daidai)とのコラボ折り本『ただいまの贈りもの』の小説部分です。ダイ君を出迎えるレオナ視点のお話。もともとはあきなさんがツイッターにあげたイラストが素敵で文章を書かせていただいたのが始まりでした。
ただいまの贈りもの「あら、ダイ君! おかえりなさ……」
言い終わる前に抱きすくめられた。ぎゅうっと力強く。
「ちょ……ちょっと、どうしたの? ダイ君……」
「…………」
ダイ君は何も言わないであたしを無言で抱きしめたまま。頭に頬を摺り寄せているのがわかる。
なにかあったのね、きっと。
時折ダイ君は、やるせない思いを胸にかかえたまま帰ってくることがある。そんな時はたいてい、こうして無言で抱きしめられる。言葉として発することもまた彼にとって負担になるのだろう。
だからあたしも何も言わない。
あたしの言葉を求めている時は、ダイ君は言葉や眼差しでなにかを伝えようとしてくれるから。
今はきっとこのまま彼の腕の中にいるのが一番。あたしを抱きしめることが、なんらかの癒しになるのなら、それでいい。
838言い終わる前に抱きすくめられた。ぎゅうっと力強く。
「ちょ……ちょっと、どうしたの? ダイ君……」
「…………」
ダイ君は何も言わないであたしを無言で抱きしめたまま。頭に頬を摺り寄せているのがわかる。
なにかあったのね、きっと。
時折ダイ君は、やるせない思いを胸にかかえたまま帰ってくることがある。そんな時はたいてい、こうして無言で抱きしめられる。言葉として発することもまた彼にとって負担になるのだろう。
だからあたしも何も言わない。
あたしの言葉を求めている時は、ダイ君は言葉や眼差しでなにかを伝えようとしてくれるから。
今はきっとこのまま彼の腕の中にいるのが一番。あたしを抱きしめることが、なんらかの癒しになるのなら、それでいい。
うず潮
DONE『ただいまの贈りもの』三部作の第三話。ナチュラブなダイレオちゃんを目の当たりにしたポップのお話。やっぱりこの3人が大好きだー!
ただいまと笑顔と 帰ってくるなり、あいつは言葉もなく姫さんを抱きしめた。
熱い抱擁というよりは、子どもが帰ってきて母親に甘えるように抱きついているように見える。実際は体格のいいダイの腕の中ですっぽりと包み込まれて、姫さんの姿が隠されちゃってるくらいなんだが──
そういえば、あいつは昔から姫さんには甘えるようなところがあったなと思い出す。おれに対しては強がったり意地を張ったりもするけれど、姫さんには素直なんだよな。
テランで記憶を失ったときなんて、それが顕著にあらわれていた。
姫さんもなんかそれに慣れてる感じだな。
なにかあったんだろうな。きっと地上の人間のおれたちには言いにくい、なにかが。
姉さん女房の本領発揮ってところか。姫さんも肝が座っているから、やけに包容力があるように感じる。
1782熱い抱擁というよりは、子どもが帰ってきて母親に甘えるように抱きついているように見える。実際は体格のいいダイの腕の中ですっぽりと包み込まれて、姫さんの姿が隠されちゃってるくらいなんだが──
そういえば、あいつは昔から姫さんには甘えるようなところがあったなと思い出す。おれに対しては強がったり意地を張ったりもするけれど、姫さんには素直なんだよな。
テランで記憶を失ったときなんて、それが顕著にあらわれていた。
姫さんもなんかそれに慣れてる感じだな。
なにかあったんだろうな。きっと地上の人間のおれたちには言いにくい、なにかが。
姉さん女房の本領発揮ってところか。姫さんも肝が座っているから、やけに包容力があるように感じる。
うず潮
DONE『ただいまの贈りもの』三部作の第二話。ダイ君サイドからのお話です。あきなさん(@akina_daidai)の素敵イラストを是非思い浮かべながら、どうぞー!
ただいまと言える場所 パプニカの城門の前にルーラで降り立った。
出迎えようと声をかけてくる城兵さんを始めとするお城の人たちへの挨拶もそこそこに、一目散に向かっていく。
この時間なら玉座の間か執務室か、そのあたりにいるはずだ。
玉座の間へと続く回廊に差し掛かった時、声をかけられた。
澄んで凛とした綺麗な声。周りにどれだけ沢山の人がいようとも、おれはこの声だけを聴き分けることができる。
「あら、ダイ君! おかえりなさ……」
きっとその顔は嬉しそうな笑顔で彩られているのだろう。でもおれはそれを確かめる余裕もなく、彼女を抱きしめた。
レオナ───
愛おしくてたまらないこの存在。
なくしたくなくて、守りたくて───誰よりもおれのそばにいてほしい大切な女の子。
1537出迎えようと声をかけてくる城兵さんを始めとするお城の人たちへの挨拶もそこそこに、一目散に向かっていく。
この時間なら玉座の間か執務室か、そのあたりにいるはずだ。
玉座の間へと続く回廊に差し掛かった時、声をかけられた。
澄んで凛とした綺麗な声。周りにどれだけ沢山の人がいようとも、おれはこの声だけを聴き分けることができる。
「あら、ダイ君! おかえりなさ……」
きっとその顔は嬉しそうな笑顔で彩られているのだろう。でもおれはそれを確かめる余裕もなく、彼女を抱きしめた。
レオナ───
愛おしくてたまらないこの存在。
なくしたくなくて、守りたくて───誰よりもおれのそばにいてほしい大切な女の子。