蟹SUN
DOODLE悠脹。原作軸だけどみんな無事に成人済みの謎次元。くっつくまでが割と長かったふたり。どうも悠仁の家と外とでの飲酒時の様子が違うらしいことが発覚した。一瞬伏黒が出ます。
悠仁が酒が弱いなんてそんなことある?いや、ない(反語)
でも、もし脹相の前では少し飲んだだけでゴキゲンになってしまうとしたら……どうする?
家と外とで、飲酒時の様子が違うらしい 悠仁の声と呼気は、俺のスウェットの腹部に吸い込まれていた。
「ちょ〜う〜そ〜〜」
繰り返される少し鼻にかかったその呼びかけに、毎度律儀に返事をする。
「なんだ?」
「んー。なんでもない。呼んだだけ」
悠仁は帰宅してからずっとこの調子だった。
俺がリビングのソファでくつろいでいたところへ膝枕を要求し、ひとしきり堪能した後、流れるように腰へ抱き着いていたのだった。
「いーいにおい」
悠仁は緩みきった顔でにへらと笑い、肺いっぱいに酸素を取り込むように深く呼吸をした。いつも以上に高い体温が俺の身体に纏わりつく。
見ての通りと言うべきか、今悠仁の口から吐き出される呼気は酒気を帯びていた。
夕方に連絡があったが、今日は任務終わりの術師同士で突発的な飲み会があったそうだ。悠仁はベロベロというふうに見える。時間も早いし、この様子だときっと二次会の前に帰されたのだろう。
6207「ちょ〜う〜そ〜〜」
繰り返される少し鼻にかかったその呼びかけに、毎度律儀に返事をする。
「なんだ?」
「んー。なんでもない。呼んだだけ」
悠仁は帰宅してからずっとこの調子だった。
俺がリビングのソファでくつろいでいたところへ膝枕を要求し、ひとしきり堪能した後、流れるように腰へ抱き着いていたのだった。
「いーいにおい」
悠仁は緩みきった顔でにへらと笑い、肺いっぱいに酸素を取り込むように深く呼吸をした。いつも以上に高い体温が俺の身体に纏わりつく。
見ての通りと言うべきか、今悠仁の口から吐き出される呼気は酒気を帯びていた。
夕方に連絡があったが、今日は任務終わりの術師同士で突発的な飲み会があったそうだ。悠仁はベロベロというふうに見える。時間も早いし、この様子だときっと二次会の前に帰されたのだろう。
蟹SUN
DOODLE現パロ悠脹。歳の差の話。高齢男性をジジイ呼ばわりします老後も仲良くね「なあ、兄ちゃんはさ、六十代、七十代、八十代のジジ──おじいちゃんって見分けつく?」
ある日の夕暮れ。物干し竿から外した洗濯物を手渡していたときに、突然そう言い出した。
「見分け……」
近所の高齢者や芸能人の顔を思い浮かべてみる。当然顔の造型に違いはあるが、年代の違いとなると難しいかもしれない。
洗濯物の最後の一枚を手渡し、縁側にいる悠仁の隣へ座る。そうして顎に手を当てうーんと頭をひねったところで再度悠仁が口を開く。
「俺はつかん。みんな同じに見える」
悪びれることなく言い切った。
「同じではないだろ……。顔のシワとか……服装とか」
そうは言っても、納得して挙げているわけではないそれらは、これといった決め手に欠けていた。俺の様子をじっと見ていた悠仁がピンと人差し指を立てた。
1706ある日の夕暮れ。物干し竿から外した洗濯物を手渡していたときに、突然そう言い出した。
「見分け……」
近所の高齢者や芸能人の顔を思い浮かべてみる。当然顔の造型に違いはあるが、年代の違いとなると難しいかもしれない。
洗濯物の最後の一枚を手渡し、縁側にいる悠仁の隣へ座る。そうして顎に手を当てうーんと頭をひねったところで再度悠仁が口を開く。
「俺はつかん。みんな同じに見える」
悪びれることなく言い切った。
「同じではないだろ……。顔のシワとか……服装とか」
そうは言っても、納得して挙げているわけではないそれらは、これといった決め手に欠けていた。俺の様子をじっと見ていた悠仁がピンと人差し指を立てた。
蟹SUN
DOODLE悠脹。口の中を怪我しちゃったら、好きな人がことあるごとに「痛いの痛いのとんでいけ」と言いながら優しくキスをして甘やかしてくるよ〜〜〜 助けてーーー!幸せの受難「イテテまた噛んだ」
「どうした?」
「朝飯のときに口ん中噛んじゃったんだよ」
「噛んだ?」
どこをという意味で問いかけられ、
「ほほ。おふのほー」
口の端に指をかけ広げて見せ、患部を示した。
口の中を切ったといっても呪霊との戦闘で負傷したわけではなく、食事中に誤って頬の内側の肉を噛んでしまったそれだけの小さな怪我。
「噛みグセついちゃったかも。はーヒリヒリする」
口を閉じ頬をさする。そこへ脹相の手が伸び、虎杖の手ごと包まれたと思ったら
「痛いの痛いの、とんでいけ」
そう言って、ちゅ、と唇が合わせられた。
「えっ! あ⁉」
「こういうまじないがあるんだろ」
「ある、けども! 子どもにやるやつ、だし……キスもするもんじゃ……」
2213「どうした?」
「朝飯のときに口ん中噛んじゃったんだよ」
「噛んだ?」
どこをという意味で問いかけられ、
「ほほ。おふのほー」
口の端に指をかけ広げて見せ、患部を示した。
口の中を切ったといっても呪霊との戦闘で負傷したわけではなく、食事中に誤って頬の内側の肉を噛んでしまったそれだけの小さな怪我。
「噛みグセついちゃったかも。はーヒリヒリする」
口を閉じ頬をさする。そこへ脹相の手が伸び、虎杖の手ごと包まれたと思ったら
「痛いの痛いの、とんでいけ」
そう言って、ちゅ、と唇が合わせられた。
「えっ! あ⁉」
「こういうまじないがあるんだろ」
「ある、けども! 子どもにやるやつ、だし……キスもするもんじゃ……」
蟹SUN
MEMO悠仁と脹相がラーメン食べてるだけ。脹相が辛さをこらえてるのカワイイなという話辛い「赤くないのにな……」
そう呟いた脹相のこめかみに一筋の汗が流れた。
ピリ辛を想像して頼んだラーメンが想像以上に辛かった。透き通ったスープはさっぱりとした口当たりを思わせる見た目をしていたが、鋭い辛味が味蕾と喉を刺激し、一口ごとに止まる箸に対して水を飲む手が止まらなかった。
脹相のただならぬ様子にメニューを改めて確認した悠仁が納得する。
「あ〜青唐辛子か。コレ見た目より辛いんよな。続き食おっか? 俺のと交換する?」
大盛りのチャーシュー麺の丼を寄せようとした。
「自分で食べる……。俺はお兄ちゃんだからな……」
「えー……責任感つよ。だいじょぶかよ。つらくなったら言ってな。あ! スミマセン! お冷やおかわりくださーい!」
318そう呟いた脹相のこめかみに一筋の汗が流れた。
ピリ辛を想像して頼んだラーメンが想像以上に辛かった。透き通ったスープはさっぱりとした口当たりを思わせる見た目をしていたが、鋭い辛味が味蕾と喉を刺激し、一口ごとに止まる箸に対して水を飲む手が止まらなかった。
脹相のただならぬ様子にメニューを改めて確認した悠仁が納得する。
「あ〜青唐辛子か。コレ見た目より辛いんよな。続き食おっか? 俺のと交換する?」
大盛りのチャーシュー麺の丼を寄せようとした。
「自分で食べる……。俺はお兄ちゃんだからな……」
「えー……責任感つよ。だいじょぶかよ。つらくなったら言ってな。あ! スミマセン! お冷やおかわりくださーい!」
蟹SUN
PAST現パロ悠脹。幼少期悠脹の回想、モブ(→?)脹、悠脹の三部構成です。・職場の後輩モブ男の視点
・モブの活きが良い
・けんかみたいになって攻めも受けも泣く
恋してめんどくさくなっちゃう攻めは可愛いしそれを包み込む受けは頼もしいですね
どこにいたって迎えに行くよ ショッピングモール 迷子センター
「うっ……う、うう……」
「今ね『ゆうじくんが待ってますよ〜』ってみんなにお知らせしたからね。おうちの人が来てくれるまで、もう少し待ってようね?」
「う゛う〜〜……に、にいちゃ、おにいちゃん……! ぅえっ」
ソファに座って泣きじゃくる男の子がいた。『ゆうじ』と呼ばれたその子どもの耳には、穏やかな口調で宥める職員の声も届いていない様子だ。
その日、その男の子──虎杖悠仁は三人の兄と共に郊外にある巨大なショッピングモールに来ていた。
結論から言えば、はしゃぎすぎた悠仁は──一人はぐれた。幸い、彼はすぐに迷子センターで保護された。
しかし、幼い子どもにとってこの世界は広すぎた。独りの時間は永遠とも思えた。兄たちのいない世界など想像したこともなかった。もう二度と会えないかもしれないとまで考える小さな心は押し潰され、その目からは涙が止まらなかった。
11757「うっ……う、うう……」
「今ね『ゆうじくんが待ってますよ〜』ってみんなにお知らせしたからね。おうちの人が来てくれるまで、もう少し待ってようね?」
「う゛う〜〜……に、にいちゃ、おにいちゃん……! ぅえっ」
ソファに座って泣きじゃくる男の子がいた。『ゆうじ』と呼ばれたその子どもの耳には、穏やかな口調で宥める職員の声も届いていない様子だ。
その日、その男の子──虎杖悠仁は三人の兄と共に郊外にある巨大なショッピングモールに来ていた。
結論から言えば、はしゃぎすぎた悠仁は──一人はぐれた。幸い、彼はすぐに迷子センターで保護された。
しかし、幼い子どもにとってこの世界は広すぎた。独りの時間は永遠とも思えた。兄たちのいない世界など想像したこともなかった。もう二度と会えないかもしれないとまで考える小さな心は押し潰され、その目からは涙が止まらなかった。
蟹SUN
PAST現パロ悠脹。好きバレ。高校生悠仁と会社員脹相。お兄ちゃんが弟のアレに遭遇しそうになり、弟の気持ちを知ってしまう話です。ほんの少しですが攻めの喘ぎ声の描写があるのでR-18設定です。初めて書いた悠脹の話になります。 16212蟹SUN
TRAINING現代で兄弟の悠脹。焼肉屋で肉を食べるふたり。フォロワーにもらった焼肉食べる悠仁くんのイラストが可愛すぎたので書きました。愛は食卓にある 悠仁は肉をおかずに白米を口いっぱいに頬張っている。
この焼肉屋はチェーン店ではなく言わば知る人ぞ知る、近隣住民に評判の店だ。席はすべて埋まり、客の熱気と肉の焼ける音が店内を賑わせていた。
目の前の焼き網の上には一度返され裏面を火で炙られている肉が数枚。
肉を咀嚼する悠仁は旨味を口いっぱいに感じてその瞳を輝かせている。
一方で脹相は真剣な面持ちで肉を見つめ、その焼け具合を見極めていた。
──もうそろそろか。
網の脇に置いていたトングを取ろうとしたが、脹相が手を伸ばすより早く悠仁がそれを手にした。
いつの間にか咀嚼を終え、悠仁のリスのように膨らんでいた頬もすっかり平常時のそれに戻っていた。
──さっきのは焼き過ぎだったか。
624この焼肉屋はチェーン店ではなく言わば知る人ぞ知る、近隣住民に評判の店だ。席はすべて埋まり、客の熱気と肉の焼ける音が店内を賑わせていた。
目の前の焼き網の上には一度返され裏面を火で炙られている肉が数枚。
肉を咀嚼する悠仁は旨味を口いっぱいに感じてその瞳を輝かせている。
一方で脹相は真剣な面持ちで肉を見つめ、その焼け具合を見極めていた。
──もうそろそろか。
網の脇に置いていたトングを取ろうとしたが、脹相が手を伸ばすより早く悠仁がそれを手にした。
いつの間にか咀嚼を終え、悠仁のリスのように膨らんでいた頬もすっかり平常時のそれに戻っていた。
──さっきのは焼き過ぎだったか。
蟹SUN
TRAINING高校生パロ悠脹。血縁関係なし。雨の日のマク○ナルドで脹相先輩に遭遇するという妄想に囚われていたときに、フォロワーがイラストにしてくれたのが嬉しくて書きました。
くれるんだ?「脹相先輩じゃん。何してんの」
ピークタイムを外れた時間の、人もまばらなファストフード店の店内。
虎杖悠仁は二階窓際の席に見知った顔を見つけ声をかけた。正確には、その人物の特徴的な髪型から、顔を確認する前に話しかけていた。
脹相先輩と呼ばれたその男は、首だけで軽く振り返ると声をかけてきた人物を確認した。
「……虎杖か」
虎杖とは直接の接点こそないが、運動神経の良さや赤みがかった派手な髪など何かと目立つため、学年が違っていてもその存在を認識していた。しかし何より弟・壊相とクラスが一緒であるという点が、脹相の記憶に虎杖を留めさせていた。そして虎杖の質問に返答をする。
「弟の、血塗のお迎えだ。傘を忘れていったからな。一緒に帰る」
1486ピークタイムを外れた時間の、人もまばらなファストフード店の店内。
虎杖悠仁は二階窓際の席に見知った顔を見つけ声をかけた。正確には、その人物の特徴的な髪型から、顔を確認する前に話しかけていた。
脹相先輩と呼ばれたその男は、首だけで軽く振り返ると声をかけてきた人物を確認した。
「……虎杖か」
虎杖とは直接の接点こそないが、運動神経の良さや赤みがかった派手な髪など何かと目立つため、学年が違っていてもその存在を認識していた。しかし何より弟・壊相とクラスが一緒であるという点が、脹相の記憶に虎杖を留めさせていた。そして虎杖の質問に返答をする。
「弟の、血塗のお迎えだ。傘を忘れていったからな。一緒に帰る」
蟹SUN
TRAINING悠脹。名前の漢字どう書くのという話。原稿の息抜きに「脹」の字むずくねという気持ちで書きました。名付け親、もしかして羂索じゃない?とあとで気付きました。名付けたのは仁さんということで。書ける「そういや、“ちょうそう”ってどう書くんだ?」
『どう書く』とは『漢字で』という意味だと一拍置いて気づき、脹相は一文字目から説明する。
「にくづきに、長い、だ」
「にくづき……肉……肉へん……?」
ピンときていない虎杖の様子を見て、漢字単体での説明をやめ、一般的だと思われる熟語で伝えることにする。
「膨脹の脹」
「待ってそれもわからん。書けん。ぼうちょう……張……? あれ? 弓へん……?」
膨脹の張の字には、表記に差し支えないとして教育漢字の『張』の字が当てられることが多いため、虎杖の言っていることは間違ってはいなかった。
──書いた方が早いな。
脹相は靴のつま先で土を抉るイメージをしたが、見下ろした地面は固いコンクリートでできていた。東京のど真ん中では、周囲にも土の地面は見当たらなかった。
786『どう書く』とは『漢字で』という意味だと一拍置いて気づき、脹相は一文字目から説明する。
「にくづきに、長い、だ」
「にくづき……肉……肉へん……?」
ピンときていない虎杖の様子を見て、漢字単体での説明をやめ、一般的だと思われる熟語で伝えることにする。
「膨脹の脹」
「待ってそれもわからん。書けん。ぼうちょう……張……? あれ? 弓へん……?」
膨脹の張の字には、表記に差し支えないとして教育漢字の『張』の字が当てられることが多いため、虎杖の言っていることは間違ってはいなかった。
──書いた方が早いな。
脹相は靴のつま先で土を抉るイメージをしたが、見下ろした地面は固いコンクリートでできていた。東京のど真ん中では、周囲にも土の地面は見当たらなかった。