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    #兎冬あさぎ

    いあいあぷちこ

    DONEワンライ「ご飯」の兎冬

    Q.親は何してるんだ
    A.あさぎが風邪をひいたときは京夜があさぎのご飯をつくる流れが家族の中にできています 作りたがるから
    「冗談言っただけ」 布団からはみ出した顔は、いつもの白さが嘘みたいにほてっている。平熱が低いあさぎは、ボクが微熱だからって気にせず学校に行っちゃいそうな三十七度台でもいつも苦しそうにしていた。同じ顔が赤くなってるのを見てると、なんだか頬が熱くなってくるのはなんでだろうね。
     いつも通りだけど、昨日の夜になんとなく予感はしてた。二人で出かけた帰り道に、つめたいゲリラ豪雨に降られたから。いつも、何かあったときのために折りたたみ傘は持っていくようにしてるけど、その日は風が強くてまるで真横から雨が飛んできてるみたいだったから、結局駅から家までの道を歩いただけでボクもあさぎもびしょびしょになっていた。
     博物館で宝石展をやるんだって、行きたいなあ、なんてにこにこしながら話されたら、そりゃあボクも張り切るでしょ。下調べをばっちりして、日曜日に電車に揺られていっしょに行った会場には、削られていない原石とか、すっごく昔に作られた指輪とか、ライトを当てたら光る宝石とか、そういうのがいっぱいあって。あさぎはすごく嬉しそうにあちこち見て回って、「おもしろいね、京夜」ってにこっと笑うんだ。
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    いあいあぷちこ

    TRAININGハッピーバレンタイン(*^◯^*)
    探索者・兎冬あさぎについての話
    モブ女子視点
    二月は墓場 兎に冬で、うとうと読む。教室の隅の席に大人しく座り、文庫本にじっと目を落としている珍しい苗字の持ち主は、クラス内ではあまり目立たない存在だった。
     伏し目がちなアーモンドアイのまなじりに、知性と色気を強調するようにぽつりと存在する泣きぼくろ。すっとした鼻筋と薄めの唇。パーツのどれをとっても派手な感じはしない、あっさりとした顔立ちをしている。均整のとれた顔立ちだけど、イケメンと騒がれるタイプではない。――けれど、私は、兎冬くんの、兎冬あさぎくんの目が好きだった。
     彼は物腰柔らかで、穏やかという言葉が似合った。生まれつき体が弱いらしく、学校を休むこともあるが、成績は学年トップレベルに優秀で先生からの信頼を得ている。しかし、会話の合間に愛想よくにこりと細められるその瞳は、たまにぞっとするような色彩を孕んでいる。時折、視線の先の人物を品定めしているような、あるいは「貴方には興味が無い」とでも言うような、冷めた色を見せるのだ。けれど繰り返すなら、あさぎくんには穏やかという言葉が似合う。そんなことを考えるようには到底思えないのに。
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