しんべえ
DONE鬼翔真とリメショ雨彦の鬼ショタ雨華小説。四話目。
新婚生活が始まりました。既におしどり夫婦。
狐に嫁入り 四翔真と駆け落ちするかのように実家を出るつもりの雨彦だったが、こんな事態になったとて、彼は葛之葉家の大事な嫡子である。まさか路頭に迷わせるわけにはいかないので、父と叔母は、住居なら在る、と、場所を提案してきた。
ひとつは、今井町。
雨彦は、良い顔はしなかった。桜井から西にあり、さほど離れてもいない。ちょくちょく様子を見に来られるのは、嫌だった。
江戸初期に建てられた町屋が建ち並ぶ様は美しく、翔真は喜ぶかもしれないが、其処に住む豪商が古くから自治権を握るような一帯なので、新参者の事をあれやこれや詮索されると面倒だ。
もうひとつは、ぐっと離れて、奈良市。しかも、二月堂裏参道に面しているという。
これには、雨彦は、おっ、と思った。
9490ひとつは、今井町。
雨彦は、良い顔はしなかった。桜井から西にあり、さほど離れてもいない。ちょくちょく様子を見に来られるのは、嫌だった。
江戸初期に建てられた町屋が建ち並ぶ様は美しく、翔真は喜ぶかもしれないが、其処に住む豪商が古くから自治権を握るような一帯なので、新参者の事をあれやこれや詮索されると面倒だ。
もうひとつは、ぐっと離れて、奈良市。しかも、二月堂裏参道に面しているという。
これには、雨彦は、おっ、と思った。
しんべえ
DONEリメショ雨彦×鬼翔真の鬼ショタ雨華小説。三話目。
狐に嫁入り 参鬼といっても様々な鬼が居るが、その中でも翔真は特殊な、不死、或いは長寿の鬼である。
聞けば、元は新潟の生まれで、齢三十を前に見た目が全く変わらなくなり、以降、三百年近く生きているという。
家族仲良く暮らしていたが、鬼は自分だけで、理由も、先天的か後天的かも分からないようだ。
親族が皆人生を全うすると、翔真はひとりぼっちになってしまった。
もともと、田舎より都での生活に憧れていたのもあり、あるとき、思いきって故郷を飛び出したのである。
翔真は雨彦に初めて会った日、京都から来たと言っていたが、実はその前は、東京や大阪にも居た時期があった。
転々と、というのは、要はその場所には長く居られず、逃げるように動き回っているのだ。
8323聞けば、元は新潟の生まれで、齢三十を前に見た目が全く変わらなくなり、以降、三百年近く生きているという。
家族仲良く暮らしていたが、鬼は自分だけで、理由も、先天的か後天的かも分からないようだ。
親族が皆人生を全うすると、翔真はひとりぼっちになってしまった。
もともと、田舎より都での生活に憧れていたのもあり、あるとき、思いきって故郷を飛び出したのである。
翔真は雨彦に初めて会った日、京都から来たと言っていたが、実はその前は、東京や大阪にも居た時期があった。
転々と、というのは、要はその場所には長く居られず、逃げるように動き回っているのだ。
しんべえ
DONEリメショ雨彦×鬼翔真の鬼ショタ雨華小説。二話目。時代設定は明治後期。
ほんのりエロ。
狐に嫁入り 弍桜井市巻向に、御綱祭りという奇祭がある。
五穀豊穣、子孫繁栄を祈る神事で、決して荘厳なものではなく、田遊び祭りである。
毎年ではないが、人手が足りないときは、父と共に手伝いや片付けに来ていた。今年は声が掛かった。
雨彦はこの祭りが苦手である。
当日。如月らしい、寒々しい灰色の空の下。今日は空気が一際冷たい。
二十人は居るであろう、酒の入った男達に担がれた大きな「雄綱」が、「雌綱」の待つ神社へ向かう。
雄雌は藁でこさえられた巨大な性器であり、これを見ただけでも、年頃の少年はげんなりとしてしまう。
前々日も、出発地の神社近くの広い納屋で、地元民らに混じり父と共に雄綱作りを手伝った。
父には昔馴染もおり、来たときは周りと楽しげであるが、雨彦は、大勢で和気藹々と男根をこさえるという状況に、無心を決め込み藁を纏めていた。
7015五穀豊穣、子孫繁栄を祈る神事で、決して荘厳なものではなく、田遊び祭りである。
毎年ではないが、人手が足りないときは、父と共に手伝いや片付けに来ていた。今年は声が掛かった。
雨彦はこの祭りが苦手である。
当日。如月らしい、寒々しい灰色の空の下。今日は空気が一際冷たい。
二十人は居るであろう、酒の入った男達に担がれた大きな「雄綱」が、「雌綱」の待つ神社へ向かう。
雄雌は藁でこさえられた巨大な性器であり、これを見ただけでも、年頃の少年はげんなりとしてしまう。
前々日も、出発地の神社近くの広い納屋で、地元民らに混じり父と共に雄綱作りを手伝った。
父には昔馴染もおり、来たときは周りと楽しげであるが、雨彦は、大勢で和気藹々と男根をこさえるという状況に、無心を決め込み藁を纏めていた。
しんべえ
DONEリメショ雨彦×鬼翔真の妄想鬼ショタ雨華小説。一話目。時代設定は明治後期。
ふんわりエロ表現あり。
続きます←
狐に嫁入り 壱「おキツネちゃん」
と、嫁から呼ばれる事にも、慣れてきた。
鼻がかった甘い声で呼び掛けられるのは、いつだって心地好い。
「寒いんでしょ?こっち来な」
新婚らしく二つの布団をぴたりとくっ付けてはいるが、身を寄せ合っては、いない。
弥生の夜はまだ冷える。先ほどから布団の中で身動ぎしていた雨彦は、ひょこ、と掛け布団から顔を出した。
藤紫色の瞳が、暗がりの中で光っている。
「ほら」
隣の布団で横になっている嫁......翔真が自分の布団を気持ち捲り、招く。
相手が寝巻きを着ていることに、雨彦は安心した。
同居してこの方、日々色仕掛けしてくるので、いなす事にも大分慣れたが、それでも、十代半ばの少年にとって刺激が強すぎる時もあった。
6808と、嫁から呼ばれる事にも、慣れてきた。
鼻がかった甘い声で呼び掛けられるのは、いつだって心地好い。
「寒いんでしょ?こっち来な」
新婚らしく二つの布団をぴたりとくっ付けてはいるが、身を寄せ合っては、いない。
弥生の夜はまだ冷える。先ほどから布団の中で身動ぎしていた雨彦は、ひょこ、と掛け布団から顔を出した。
藤紫色の瞳が、暗がりの中で光っている。
「ほら」
隣の布団で横になっている嫁......翔真が自分の布団を気持ち捲り、招く。
相手が寝巻きを着ていることに、雨彦は安心した。
同居してこの方、日々色仕掛けしてくるので、いなす事にも大分慣れたが、それでも、十代半ばの少年にとって刺激が強すぎる時もあった。