はじめてのハンバーガー「あれ、明兄!」
能天気な声に呼ばれ、明儀はあからさまに表情を歪めた。
振り返るまでも無いし、振り返りたくも無い。
しかし、師青玄は目立つ。現に、明儀と同じ黒い学ランを着た奴らが興味津々にそちらを見ているのが分かった。
タッタッタッと、革靴がアスファルトを蹴る音が近付いて来る。
ここは、明儀の通う高校の近くである。明儀の高校は、所謂“不良高”だ。
そんな所にお上品で世間知らず丸出しの、地元でも有数の私立高校の制服に身を包んだ奴が無防備に歩いているなど、鴨にしてくれと言っているような物だ。
案の定、明儀が振り返るのを躊躇していると、背後でどこぞの怖い物知らずが声をかける気配がした。
「ねぇ、君、こんな所に何の用?暇なら俺と………………」
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