レイチュリ 観.用.少.女.パロ その日は雨の日で、ほんの少し軒下で雨宿りをしただけだった。
それだけの、はずだった。
店は人形屋らしく、ショーケースには見目麗しい人形が飾られている。
精巧に作られているそれらは、まるで本物の子供が眠っているかのように見た。
「あら、お客様かしら?」
「……?」
「しばらく雨は続くそうだから、一度中へどうぞ」
促されるまま店に足を踏み入れる。
今思えば断れば良かったのものを、僕はなぜ受けてしまったのだろうか。
これが、僕が観用少年と呼ばれる人形と出会った瞬間だった。
「雨が上がるまでお茶でもどうぞ」
目の前に置かれた紅茶は暖かな湯気を立てていた。
この店に入店してからろくに時間も経っていないのにいつ淹れたのか。
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