「チェズレイ、おはよ」
「……」
たとえば、何日もかけて、つぎに侵攻する場所の情報を集めた後とか。
たとえば、予想外のトラブルに見舞われて、まる二日タブレットにかじりつきの後とか。
あとは、まあ、今日みたいに、久々のお休みに朝方まで張り切ってしまった後とか……、
呼びかけに応じて、シーツで作ったドーム型の岩戸が開かれて、のそのそ上体だけ起こされて、なんにも纏わぬ輝く白い肌が半分あらわになる。
(あ~あ)
やっぱり予想通り。緑のエプロンを腰に巻いたモクマは見られてないのをいいことを苦笑いする。
チェズレイの完璧なつくりの美貌のなかでも、ひときわ目を引く、宝石のような紫の目。
それが、こういう、お疲れの朝だけ、ほんの時たま……眠りから覚めても尚ひらかれずに、びっしり生えそろったまつ毛が横一本に整列した……シンプルなラインになってくれることがあった。
1898