プレゼント「クリスマスプレゼントはおとうさんがいいです!」
「おとうさん?って、オラのことか?」
「他に誰がいるんですか〜」
「そ、そうだよなーハハハ…」
クリスマス。家族でケーキを食べたり、親が子どもにプレゼントを贈る日…なのだが、プレゼントを贈るのはサンタクロースということになっているので子どもにはバレないように、と追記される。空想のモデルがどうのだとか、悟空はそういった面での理解が薄いが、とにかく悟飯に悟られてはいけないということは分かっていたので、今年の願いの返答に困っていた。
いつもなら貰えると良いなだとか簡単に流せたものを、自分を要求されるとは思わず何と声をかければ正解なのか分からない。
「ええっと、オラが欲しいってことか?それはどういう」
「そのままの意味ですよ、朝起きたらボクだけのおとうさんになってたら嬉しいなって」
「うん………???」
今は違うのか?悟空は最初に思った。
もっと父親らしいことをして欲しいということだろうか。であればクリスマスだけに願える条件にはそぐわない気がする。
「…それってクリスマスじゃなくてもいいんじゃねえか?」
「ボクは絶対に欲しいので、クリスマスじゃなきゃだめなんです」
「うーーん…そっか…」
聞いてみても悟飯の意思は変わらないようだ。そんなに寂しかったのかと思考がどんどん親子の何たるかへと引き寄せられていく。
確かに世の中の父親のようにはできていないかもしれない。しかし悟飯の安全だけは守るようにしてきたつもりだ。…否、それは悟飯自身も闘いに赴く前提であって、真に守れてはいないのか。
考えている内に黙り込んでしまい、悟飯に身体を揺すられ我に返る。見れば顔は赤くなり悲しそうな目で悟空を見つめていた。泣き出す寸前のような顔をしていたので内心ギョッとする。
「……おとうさん?おとうさん、もしかして、嫌でしたか…?」
「……ん?嫌なわけあるもんか」
「ほ、本当に!?」
「うーんでも、サンタは多分持ってきちゃくれねえぞ。多分オラのこと運ぼうとするだろ?寝てるときにやられたら反射的に闘っちまうよ」
「あはっ、おとうさんがサンタさんに負けるわけないもん!」
「だから晩に一緒に寝るで我慢してくれねえかなあ。プレゼントは別のをお願いしようぜ」
頭を撫でてやるとパッと目を輝かせ、嬉しそうに頷いた。
悟飯の笑顔を眺めてようやく一安心する。上手く話を進められたようだ。納得している様子を見ると悟空の考える通りの願い事だったらしい。息子が不安がるようなことはできないと悟空は意識を改めるのだった。
「おとうさん大好き!」
当日の夜、予想外のことが起こるのはまた別の話。