嘘を吐くから愛してるって千回言って「それじゃあ、おれが告白したことも忘れちまったんですかい?」
リーがドクターへの面会を許されたのは二十七番目だった。それが早いのか遅いのかはわからないが、ロドスに常駐しているオペレータの数を考えるならば優遇されていると考えるべきだろう。医療オペレーターに自分の番が来たことを告げられたリーは、扉の前で最後に一度だけ深呼吸をした。そして退出したニアールと入れ違いに病室への扉を開け、
「あ、リー。お見舞いに来てくれたんだ」
ベッドの上に、変わらぬ微笑を自分に向けるドクターの姿を認めた。湖に石を投げ込むように、広がる感情が胸を満たす。ささめきめいて広がり、自分の胸に空いた虚へと反響するそれが落胆なの安堵なのか、リーは名前を与えなかった。
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