転生君。僕の話を黙って聞いてくれていたのに、アンタは1番大事なことだけは聞いてくれない。
初対面、何をして欲しいか聞けば、話したことすらないクラスメイトだった僕達に死ぬのを見送って欲しいだとか、欲求なんて何にも込められてない。
意味なんて何もない。くだらないお願いや言動。まるで何かに操作されてるかのような虚な瞳には色合いなんて含まれていなかった。
「ねぇ、アンタはどうすれば、...
何をすれば生きたいって思ってくれるの?」
そう聞いた時、彼女は何も答えずにただ僕を見つめていた。今でも、あの時に自分ができたことは想像もつかない。
もっと違う、気の利いた言葉でも出せていれば、アンタはまだそばにいてくれたのかな。
「怖い夢を見るんだ」
ただ何も言わずに線路に落ちていった彼女が。
周りのうるさい声と共にもう原型をとどめていない、彼女だったものが。
「いや、嘘___。」
僕の声は聞こえているようでいつだって届いていない。アンタに想いを伝えることなんてできやしない。
「アンタの望むことなんでもしてやるからさ、」
あんたは一体なんで死にたいって思ったの?
まだ1週間も経ってなかったのに。
わからない。わからないよずっと。
アンタにとって、この世界はそこまで真っ白でくだらないものだった?
「もうちょっとだけ、僕の話を聞いてよ。」
僕の話を聞いてよ。ちゃんと、こっちを見てよ、実は、あんたのことは嫌いじゃなかったんだ。
でも、アンタがこの世を後にしてしまっから、僕はもうどうしようもないんだ。あんたのことを想っているのに、何もできない自分が悔しい。だから、もうちょっとだけ、生きて欲しかったんだ。だから、もうちょっとだけ、僕の話を聞いて欲しかったんだ。
「........。
....?」
深夜の静かな部屋で、悪夢にうなされて目を覚ました。息が荒くなり、汗が額から流れ落ちる。暗闇が不安を増幅させる。悪夢の余韻がまだ心に残り、眠りを取り戻すことはできない。このままでは最悪だと思いながら、枕元に置いた水を飲み干した。
「..ねえ、アンタ、見てる、ねぇ、そこにいるんでしょ、返事してよ。
、アンタの望むこと何でもするから、もう僕のこと見捨てないでよ。」
誰もいない部屋でささやかれた言葉は、誰にも届かなかった。