エル琴と幸運のハンカチ……いつから気を失っていたのだろうか…。
ガタンと大きく揺れた振動で俺は頭を打ち意識を取り戻した。
薄暗の中、木箱の隙間から周囲を見回す。
大樽や自分が隠れていた木箱と同じようなものが数個と木でできた床。それらすべてを覆うように布がかぶさっている。
「よーしよし、長時間お疲れさん。やっと着いたなぁ、飯と水をやるからな」
人間の声と馬の嬉しそうな鳴き声。ハッと息と気配を消し様子を俺はうかがった。
…俺にはナイフが1本。
布をはがされ、箱を確認され俺の姿を見られれば終わりだ。
いざとなれば…やるしかない。
カチャカチャと金具を外す音が消えると同時に馬の足音が遠のき木製のドアが開閉する。そのまま馬の主と馬はどこかへ行ったようだ。
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