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    *メイド服でいちゃいちゃ
    *頭空っぽにして読んでください⚠️

    楓可不『メイド・イン・♡♡♡』『楓ちゃんの部屋で待ってていい?』
    『いいよ』
     可不可とPeChatでやりとりをしたのが三〇分ほど前のこと。大浴場に向かう楓とすれ違いざまにするりと一瞬だけ指を絡ませた可不可が、スマートホンを掲げて振って見せた。元々、今日は楓の部屋に来ると言っていたが何か伝え漏れたことがあったのかと思い、脱衣所でスマートフォンを取り出すと、タイミングを見計らったように可不可からのメッセージを受信した。
     可不可が楓の部屋で待っていることも、いまや特段珍しいことではない。
     ――そんなに頻繁に部屋空けてて大丈夫なの?
     ――うん。添にはもうバレてるし、練牙はうまいこと誤魔化してるからね。
     事も無げに可不可が言ってのけた時は頭を抱えたくなったが、だからと言って可不可の来訪を拒もうとは微塵も思わなかった。可不可はよく楓のことを鈍感だとか、僕ばっかりだとか言うけれど、楓にだって人並みの欲はある。病院生活が長かった恋人と心置きなく触れ合いたいのは楓だって同じなのだ。
     いつもより少し足早に自室に向かう。誰ともすれ違わなかったことにほっとしながら、部屋の前で息を整え、扉を叩く。
    「可不可? 来てる? 入っていい?」
    「うん! あ、今鍵開けるね」
     扉越しに嬉しそうな声が跳ねる。鍵をかけて待っているのは珍しいな、と思いつつ近づいてくる足音を待った。
    「おかえりなさいませ、ご主人様」
     語尾についたのは音符だろうか、ハートマークだろうか。一瞬そんなことを考えてしまうくらい甘い声で出迎えられ、最初に目に入ったのは白いフリルで縁取られた丸い頭だった。深々としたお辞儀から向き直った可不可は黒いワンピースに身を包んでいた。肩から二の腕にかけて膨らんだ袖。白い袖口も、丸い襟の中心もボタンは全て留められている。ふくらはぎほどの丈のスカートは、可不可が動くたびふんわりと揺れる。裾から覗く足首は黒いタイツに覆われているる。ヒラヒラとした白いエプロンにはシワもシミもひとつもない。
     楓は慌てて扉を閉め、鍵をかけ、ついでにドアロックもしっかりとかけた。
    「何してんの!?」
    「たまにはこういうのもいいかなって思って朔次郎に作ってもらったんだ」
    「いやいや! 何させてんの!?」
     狼狽える楓を見て、可不可は口を尖らせた。
    「え~似合ってない? それとも楓ちゃんはこういうのは嫌い?」
    「そ、んなことは……」
     ない、と呟いた声は我ながら情けなくなるくらい消え入りそうだった。似合っているか似合っていないかで言えば、可不可に従属する側のイメージがないことを差し引いても似合っている。あと、正直嫌いではない。
    「かわいい……です」
     観念して言えば可不可が満足げに笑う。頭が沸騰しそうだし、顔から火が出そうなくらいに頬が熱い。悪戯が成功した子どものように笑った可不可は更に口角を上げた。
    「これね、パーツが分かれてるんだ」
     そう言った可不可はエプロンの下に手を伸ばし、腰のあたりで何やらごそごそと手を動かす。どう言う原理か、腰に巻きついていた裾が外れ、中からやはりふんわりと広がったスカートが現れた。今度は、太ももが見えるほどの丈の。
    「可不可!?」
    「どう? クラシカルなロングスカートタイプ派と、ザ・コスプレって感じのチープなミニスカ派がいるって聞いたんだけど」
    「誰ですか、そんなこと教えたの」
    「えっ。添」
     添くん!! っと心の中で諌めたところで、楓の脳裏に思い浮かぶ添はいつもの飄々とした笑顔で手を振るばかりだ。
    「楓ちゃ……違った、ご主人様はどちらがお好みですか?」
     短い裾が揺れるたびに太ももが覗く。タイツだと思っていたのはいわゆるニーハイソックスだったようで、ご丁寧にガーターベルトで留められているのがちらちらと見えている。わずかに覗く白い太ももはひどく細く見えるが、手術を終えてから筋肉にはなりきらない肉がついている。触れれば存外柔らかいことを、楓は既に知っていた。それはもう、その身をもって。黒、白、黒のコントラストが目に毒だった。
    「……………………ロングスカートがいいです」
     楓の絞り出すような声は可不可にどう聴こえたのだろう。あはは、とこの場に不釣り合いなほどに明るく笑った可不可は先ほど外したばかりのロングスカートをもう一度腰に巻きつけた。裾を綺麗に整えた可不可が、立ち尽くしたままだった楓の正面に身を寄せ、するりと腕を首に巻きつけた。背伸びをして、触れるだけの口付け。
    「ね、ご主人様、ご命令は?」
     耳元で囁かれた声に堪らなくなって、楓は可不可を抱き上げた。
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