楓可不『月と車輪』 ――タロットカード?
――うん! お土産屋さんで見つけて、絵柄が綺麗だったから!
そう言って、楓からタロットカードをもらったのが数ヶ月前のことだ。
初めは正直「占いなんて」と思った。けれど、本を読んだりインターネットで調べながらその日の運勢だったり、空いた時間の過ごし方だったりを占ってみるうちに面白さを感じるようになっていた。占いを決められた運命の答え合わせをするもののように思っていた可不可にとって、引いたカードをどう解釈し、どう読み解くか、同じカードでも占う人によって結果が変わってくるのは、曖昧だけれど人間らしくて嫌いじゃなかった。
「あれ? それ、この前あげたタロットカード?」
「うん。せっかくもらったから使ってみようと思って。楓ちゃんも占ってみる? 運勢でも悩み相談でも」
2683