【ヴェラン】微睡みは腕の中「ヴェイン! ヴェイン、ほら、これカッコイイだろ? ねえ、寝るなってば」
「うん……、ランちゃ……、ねむい〜……」
小さな頭をゆらゆらと揺らし、目を擦りながらヴェインが言うのを、ランスロットは取り合わなかった。
だって、パパが新しく買ってくれた図鑑に載っているムシがカッコイイのだ。昨日からヴェインに見せたくて仕方なかったのに、ヴェインは今にも眠りそうで、ランスロットは頬を膨らませる。
リビングのソファーの上で、厚い図鑑を持ち上げ、該当のページを見せつけた。
「こんなにカッコイイのに、ヴェインは見たくないのか」
つい、強めの口調で言うと、ヴェインの瞳に涙が浮かんでくる。
「うぅ……、ぐすっ、ランちゃん……」
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