心の闇を照らす光のように瑞月にとって母、皇太后は母であり国母であり、少なからず畏怖の対象でもあった。
ある日、瑞月は皇帝に恨み言を口にする姿を偶然にも見てしまった。
「憎い、あのひとが憎い」と、その顔は瑞月のトラウマとして残るには充分である。表面的には笑って甘えて、ただ心の中にはあの日見た母の顔が消えてはくれなかった。数少ない父、皇帝との邂逅も、母は怖い顔で帝を見ていて、抱きしめてくれた母母は少し震えていた。
国母の母には瑞月はわがままも甘えの言葉も飲み込んで、母親ではあれど、水蓮のように甘えるのはできなかった。同時期に、自分の周りからお気に入りになったおもちゃ達がなくなり、しばらくして瑞月はお気に入りだとバレてしまえばまた取り上げられてしまうと思って、瑞月は周りに本心を隠すようになった。
1209