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    はち郎

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    はち郎

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    【ボ主♂】
    弊ボ主のクリスマスの過ごし方。
    健全です。

    プレゼント12月のメトロシティ。
    一日のトレーニングが終わり外へ出ると、澄んだ空気とともに肌を刺すような寒さが襲う。
    二人並んで帰路につき、アツアツのピザでも買ってボシュの部屋で食べようという約束をしていた。

    「お、珍しく着込んでるんだな。」
    「アメリカ、寒すぎる。」

    いつそんな服を手に入れていたのか、モコモコとした厚着に身を包んだマウガは珍しい。トレーニングセンターではいつものズボン一丁で手合わせをしていたのに。

    ビートスクエアに入ると、煌びやかなイルミネーションの眩しさに二人は目を細くした。

    「うおっ!ギラギラだ!」
    「クリスマスイベントがあるらしいからな。」
    「クリスマス?」
    「俺もよく知らないけど…。この時期になるとああやって街が電球で飾られて、赤い格好をしたサンタクロースって人があちこちに現れてプレゼントを配るらしい。」
    「へぇ〜…」

    ボシュもマウガも文化が違うためクリスマスの知識はない。だが、道ゆく人々の楽しそうな姿を見て自然に心が踊る。

    「わからないが、いい日だな!」
    「そうだな。」

    隣ではしゃぐ大きな男を見て、ボシュはふっと小さく笑いをこぼした。白い息が宙に舞って消える。

    ビスの店でピザを注文し、クリスマスだからと特別にメニューにあったターキーレッグもマウガが食べたそうにしていたので一緒に持って帰った。

    道路や店にポツポツと光る飾りを眺めながら、料理が冷めないようにと少し早足で歩く。
    ボシュの部屋に到着し暖房を点けると、手洗いもそこそこに早速買ってきた料理を小さなテーブルに広げた。

    温かいうちに食べてしまおうと二人でまずピザを取り分ける。


    とろける黄色とみずみずしい赤色、言わずと知れた食欲をそそる見た目。
    頬張ると、できたてには劣るものの贅沢に乗せられた分厚いチーズはまだ柔らかく、噛めばじゅわっとほぐれてトマトソースの酸味が口の中に広がる。そこにペパロニの肉感と香ばしさが遅れてやってきて、ちょうどいい塩加減を加えてくれる。

    「ン!ウマイ!」
    「んん、やっぱりビスの店のピザは最高だな。」


    お次はターキーレッグ。
    クリスマスには定番の料理らしい。
    マウガは見るからに美味そうなそれに目を輝かせてそれに大きく一口かぶりついた。

    「ん…!!」
    「どうだ?」
    「オレ、これ好きだ!とてもウマイ!」

    ボシュも一口かじってみる。
    フライドチキンは知っているが、それよりもひと回りもふた回りも大きくて筋肉質だ。

    スモークされているから表面はパリッと硬く、更に噛みしめると中から繊維質ながらも柔らかい、まさに「肉を食べている」といった実感をくれるようなジューシーな食感が口の中を満たしていく。

    「うん、美味いな。」
    「これ、クリスマスだけじゃなくて毎日食べたい!」
    「ははっ。おまえ、ほんと肉好きだよな。」



    ……




    食べ盛りの二人によって、テーブルにびっしりと置かれた料理たちはあっという間に食べ尽くされた。

    片付けて、満腹になった二人は定位置…ソファとその足元でのんびりとくつろぐ。

    「マウガ。」
    「ん〜?」

    頭上から降ってきたボシュの呼びかけに首を上げて応えた。

    「おまえ、耳にピアスの穴空いてたよな。」
    「これか?うん。今は使ってないけど。」

    普段は髪に隠れている彼の耳たぶには、閉じきっていない穴が空いていた。

    彼の故郷の名残のひとつ。
    故郷では一定の年齢になると、証として耳たぶに穴をあけて装飾品を付けるのが習慣だ。

    故郷を出てその必要がなくなった今、アクセサリーに頓着がない彼は何も着けていない。

    「…ちょっとじっとしてろよ。」
    「?」

    ボシュは身を屈めてマウガに目線を合わせると、髪を耳にかけて何やらごそごそと触れている。

    「何だ?くすぐったい。」
    「動くなって。」



    「…よし、できた。鏡見てみろよ。」
    「?わかった。」

    言われた通り洗面所の鏡の前に立ち、髪をどかして先程触られていた耳あたりを確認する。

    「…おっ。」

    その両耳には、小さな空色の石があしらわれたシンプルなピアスが着けられていた。

    マウガは思い出した。今はもう見ないが、ボシュと初めて一緒に街を歩いた時。その時に彼が身に付けていた、玉をつないだ特徴的な装飾品の一部…あの、きれいな色を。

    彼の意志の強さを表すような燃える赤と目が冴える青の中に、ひっそりと佇むあの優しい空色の玉が、なぜか鮮明に記憶に残っていた。

    「これ…」
    「…クリスマスプレゼントってやつだよ。おまえにやる。」

    少し照れ臭いのか、彼は視線を斜め下に向けたままぼそっと言った。

    ぽかんとしていたマウガの表情がみるみる喜びに変わり、ニンマリと笑みを浮かべる。

    「へへっ、アリガトウ。ずっと着ける。」
    「あんまり見せびらかしたりするなよ…」
    「ムズカシイ!」
    「何も難しい事言ってないだろ!」
    「ンフフ」

    今は短く刈り揃えられているボシュの綺麗な赤い髪。
    それが、街でプレゼントを配っていた“サンタクロース”のようだと言ったら…彼はまた怒るかな、とマウガは笑いを堪えていた。

    「あ、でもオレ、オカエシ持ってない。」
    「いいよそんなの。誕生日にお前からもらってるし。」


    マウガにとってボシュからもらった初めてのプレゼント。これからは鏡を見るたびに、耳に触れる度に、彼を感じられる。

    それが嬉しくて、マウガはその晩ずっと口角が上がったままだった。











    おわり

    ───────────



    〜あとがき〜

    ターコイズの石言葉 「強運」「成功」「繁栄」「旅の安全」

    ヨーロッパでは古くから
    「私を忘れないで」
    という意味を込めて指輪にして贈られるとか。

    ボシュがそれを知っていたかは…?


    ☆☆☆☆☆

    弊ボ主なりのクリスマスを想像してみました!
    途中の食レポは趣味です。
    最後まで読んでいただきありがとうございます🙇



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