いつもの 窓から差し込む柔らかい朝日に頭をやんわりと撫でられて、レイシオは目を覚ます。スッキリした視界で時計を見れば、いつも起きる時間よりも15分遅れて起床したようだった。
首を動かして体の重みに目をやると、腹の辺りに腕が回されてガッチリと自身の身体を抱きしめていた。腕を辿って顔へと視線を移すと、アベンチュリンの頭が自分の体に埋められている。どうやら、アベンチュリンの寝顔を見ることは叶わないようだ。眠っているというのにレイシオの体を強く抱きしめて、まるで新生児の把握反射だな、とアベンチュリンにこの言葉は届かないと分かっていながらレイシオは独りごちる。
レイシオの身体に頭を擦り付けられたふわふわの前髪は、反り返って変な形の寝癖と化していた。レイシオは素直なアベンチュリンの髪を優しく撫で、朝日に照らされた髪がキラキラと光の粒を反射するさまを見て美しさに思わず微笑む。頭を撫でようが、体を少し捩ろうがアベンチュリンはぐっすり眠って不動の構えでレイシオを抱き枕にしていた。呆れと同時に熟睡しているアベンチュリンに安心して、治療が実を結びつつあると柔く実感する。
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