街角にて トントン、と肩を叩くと、なんの躊躇いもなくふにゃっとした感触。一拍置いて、見あげようとした動きが止まる。
微妙な角度から見える唇に滲む嫌悪感、とでも言おうか。スッと離れると、ラスカル・スミスはパンパンと軽く肩を叩いた。
「こんにちは、良い天気だね」
「……コンニチハ」
機械的な挨拶を返し、こちらも見ずに再び歩き出す彼女。の、横に並ぶ紫草。距離を取れば、その分だけ近づいていく。その度に、ジトリとした視線が紫草を捉える。
数分、そうやって遊んでいただろうか。不機嫌そうにラスカルが口を開いた。
「どうして着いてくるんだぃ?」
「どうしても何も、向かう方向が同じなだけさ」
「そうか、じゃあ離れて歩いておくれ」
「どこをどう歩こうと私の勝手だ。勿論、君にもその自由はある」
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