リョータずきんとオオカミさんここは緑の深い森の奥。
リョータずきんは、赤木おかあさんのお手製アップルパイを手土産に、湖畔のほとりにあるおばあちゃんのお家にやってきた。
ーーー日が沈む前に帰って来い。暗くなるとオオカミが出るからな。
赤木おかあさんの言いつけだ。ここに来るまで、暗い棘の道でお腹を空かせたクマを助けたりして時間を使ったが、日が沈むまでにはまだ十分猶予がある。
自分の好物でもあるアップルパイで、おばあちゃんの誕生日を祝うのだ。
スウとゆるく息を吸い、バスケットを持っていない方の腕を上げ、厚い木の玄関扉を叩く。
「ばーちゃーん!!俺っす、宮城っす。誕生日祝いに来たんで開けてくださいー!」
ドンドン
「ばーちゃーん!」
ドンドンドン
「ばーちゃーん?」
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