今でも転生五伏。
小学生五条と高校生伏黒が出会ったはなし。
「ねぇなんでどうして?」
なんでどうしてはガキの特権だと遠い昔に親父が言っていた気がするが、彼と会わなくなって五年以上が経つのでヤツの顔は覚えていない。
テーブルに放置したままのグラスがちいさく波打つ。カラン。茶色い液体の中で氷が溶けて色を薄くする。
「ねぇどうして?」
向かいの席で床につかない足をぷらぷらと揺らがせながら、ソイツは不満げに声を張り上げる。ついさっき学校の帰り道に声をかけてきたソイツは恵の顔を見るなり目を見開いて、口もあんぐりと開けて、初対面の筈なのにコチラの名前を知っていた。恵だよねと。
「知りませんよ。頭痛ぇから声抑えてもらえませんか」
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