インセクター3雨が降ったのか、空気が湿っていた。
じっとりとした厭な空気が溜まった薄暗い路地裏で、三人程の大柄な男がたむろしている。
皆、何か同じ組織に属しているのか、同じ茶色のつなぎを着ていた。
男達の足元に、何かが転がっていた。
薄汚れているが、人間だった。
オレンジのラインが入ったスカート。肩につく程のセミロング。
歳は、十四ほどだろうか。
幼さなの残る、可愛らしい顔立ちをしている。笑った顔が見てみたくなる少女だった。
しかし、少女───リカエナはただ虚ろな目で地面に蹲っていた。
「久しぶりの収穫だ。保安局に嗅ぎ付けられる前にさっさと運んでしまうか」
顔に傷のある強面の男が、リカエナを土足の爪先で小突いて転がした。
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