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    オパール

    @Opal_October_AN

    今のところシレン関連置き場。我が家のシレンさんはフツーーに喋るので注意!
    その内ぷよだったりFFだったりDQだったりおウィズだったりジャンルごちゃごちゃになると思いますw
    passは全てyesです!

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    オパール

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    ※6ベース・アスカ混乱ネタ
    ※深層でそんな弱いの居らんやろ!ってツッコミは受け付けません!🤣
    ※最後にちょっとおまけがある 見ても見なくてもおkです

    シレン小話:力のアスカ/耐久のシレン 賑やかな旅に冒険も弾む、風来街道。
     互いに長年風来人としての腕の高さでどんどん深層へと向かう、シレンとアスカ。前者が水斬りの剣とオトトの盾の共鳴装備、後者が妖刀かまいたちとお告げの盾。どの装備も神器且つ、可能な合成は大体済ませている鍛え抜かれた装備だ。剣の色が青と赤で綺麗なコントラストである。
     互いの長所と短所を活かし、補いながら、背中合わせで順調に進んで行く――が、突然危機が訪れるのも不思議のダンジョンだ。
    「! シレン、危ない!」
     シレンよりも先に骸骨魔人に気付いたアスカが咄嗟に庇う。魔法避け系の印がない状態で魔法弾をまともに食らってしまい、アスカはその場に屈んでしまう。
    「アスカ!」
     今すぐ助けたいのをぐっと堪え、共倒れの可能性を減らす為にまずは骸骨魔人を始末するべく、落ち着いて封印の杖を振る。魔法弾が撃てなくなり困惑しているところにシレンは一気に間合いを詰め、成印の力もあり一撃で倒す事に成功する。
     ふうと一息吐き、アスカ、と呼ぼうとした瞬間――影が、揺れた。
     新手か!? と碌に確認も出来ないまま素早く盾を構えると――予想外の衝撃がシレンを襲う!
    「がッ……!?」
     重さに耐えながらシレンが顔を上げると、そこには。
    「アスカ……!」
     予想はしていた。してはいたが当たって欲しくなかったと、シレンは思わず唇を噛んだ。
     目の前の彼女は明らかに錯乱している。混乱状態になってしまったのだ。ゲイズ種の催眠や乱れ大根の暴走の種よりかはマシだが、こうなると此方にも被害が及びかねない。寧ろもう被害が及んでいる。
    「すまぬ、シレン……! 身体が、言うことを……、」
     聞かない! その言葉と共に、更に盾に負荷がかかる。鍛えてある故に強度は相当なもののはずだが、それにも関わらず時折ミシッ……と音が聞こえ、その度にシレンも呻き声を上げる。
    「ぐッ……ぁ……!」
     勿論、アスカの武器だって鍛え抜かれている。とはいえ妖刀かまいたちだ。神器でこそあるが、そこまで基礎値の高い武器ではない。
     にも関わらず、何だこの彼女の力は! 印の力がなくとも素で会心の一撃を放てるだけの事はある。いや、あり過ぎる。男の自身が早々に押し負けそうになるのが分かる。
     情けをかけたら駄目だ。ここは己も全力で彼女を止めなければ!
    「アスカ……ッ! 正気に戻れ!」
     左手にぐぐ……っと力を込め、彼女の剣を跳ね退きそのまま素早く剣を振る。だがあっという間に防がれ、今度は剣と剣がぶつかる。
    (くっ……早い……!)
     一撃も重ければスピードも速い。自身と違い耐久力は高くない故、一撃でも入れられれば大分違うはずだが――当然その一撃をなかなか入れさせてもらえない。
     再び押し負けそうになるのを自身で察するとシレンは彼女の剣を受け流し、一歩二歩引いて間合いを取る。このまま剣で闘うのは分が悪い。ならば。
     考えている間にアスカが距離を詰める。シレンは直ぐに神経を研ぎ澄ませ、まともに受けたら痛恨の一撃であろうそれをさっと躱した。躱された事に彼女が一瞬驚くも、直ぐに振り向き再び剣を振る。それを今度は盾で受け止めた。これの繰り返し。
     彼女の混乱が解けるまで、体力がなくなるまで、耐える。シレンの出した結論はこれだった。即ちこれは、アスカの力にシレンが屈するか、シレンの耐久力にアスカが音をあげるか――実に不毛な一騎討ちの始まりである。


     守りを決めたとはいえ一瞬の隙は見逃さない。少しでも彼女を消耗させる為、当然振れる時は傷が増える覚悟で剣を振る。茶の髪からぽたぽた垂れる汗を散らしながら、シレンはただひたすらに待った。とにかく待った。彼女が止まってくれる事を。
     一方のアスカはそんなシレンの意図など当然知る由もなく、ただただ本能で剣を振る。束ねた桃色の髪と共に揺れる盾の鈴の音が、虚しく響く。
     攻めない彼に埒が明かないと判断したのか、アスカは徐に弓を射った。選りに選って撃ったのはなんと、毒矢。撃つ行為はそもそも混乱状態に関係なく正確に出来る為、非常に危険であった。
    (不味い……!)
     あれを食らって毒にでもなろうものなら作戦は疎か、そのまま倒れてしまいかねない! 瞬時にシレンは身を屈めやり過ごす。三度笠を掠めたのが分かり、思わず過呼吸にも似た息を洩らす。
     だが今ので光明も見えた気がした。何故今まで弓という発想が抜けていたのだろうか。ふと彼女を見てみれば、自身以上に息が上がっているのが分かる。
     ――行けるかもしれない。いや、ここで勝負をしなければ、恐らく。
    (押し負ける……!)
     シレン自身も、痛みと疲弊で限界が近付いている。長い旅で培った体力と精神力、そして諦めないという心で何とか誤魔化しているだけだ。ゆっくりと後方へ下がって距離を離し、彼女が仕掛けようとするのを――的確に、狙う!
    「えっ……、」
     アスカに取っては突拍子もない攻撃だっただろう。先程自身が取った行動にも関わらず、放たれた木の矢を避けようと無理に右手を捻らせる。これまでの疲労と、思わぬ攻撃に反応するので精一杯故に、流石の彼女もよろめいた。
     ――隙が出来た。攻めるなら今しかない!
    「これで……決める……ッ! ――はぁッ!!」
     見事猛攻を耐え切った後の、シレンの渾身の会心の一撃! 剣と剣の激しい金属音の後、衝撃で同時に二人の右手からそれが弾け、飛んだ。赤の剣が回転しながら地面に突き刺さり、青の剣がカランッ! と落ちた音が聞こえた後、ふっと糸が切れたかのようにシレンは崩れ落ちた。

    「……はっ、私は何を……?」
     暫し時間が流れ、漸く混乱状態が解けた。その瞬間に分かるのは妙な疲れと、鈴が壊れる程の盾の消耗具合。そして近くに刺さっている剣の、酷い刃こぼれ。まさかと思いアスカはばっと頭を上げた。彼女の鮮やかな翠眼に映るのは――、
    「シレン……!? シレンッ!!」
     自身の以上にボロボロの盾片手に、片膝を着き蹲る仲間の姿だった。直ぐに己の所為だと分かったアスカは大声で彼の名を呼び急いで駆け寄る。肩で息をしているが、何とか無事なようだった。
    「シレン、すまない……! ええと、背中の壺、背中の壺……!」
    「だい、じょうぶ、だ……焦、るな……ッ」
     らしくない、と傷だらけにも関わらずシレンはアスカを宥め、先程の衝撃で痺れ震えている右手で一枚の巻物を取り出す。口で咥えて紐を解き、そのまま片手でだらりと開きつつ巻物を読むとたちまち傷が塞がった。困った時の巻物である。
     それを気が気でない状態のまま見届けたアスカは安堵の長い溜息を吐き、ぺたんとそのまま座り込んだ。
    「良かった……………」
    「ふ……、いつも冷静なアスカがそこまで取り乱すとは」
    「当たり前でござる! シレンは私の大事な仲間でござるよ……、すまなかった。庇ったつもりが、こんな事に……」
     そのまま落ち込む彼女にシレンは少し驚くも、直ぐに首を横に振る。お互い無事で良かったと優しい声色で応えつつ、先程彼女が探していた背中の壺を差し出してやる。彼の意図が分かったアスカはかたじけないと、大人しく壺の背中を押した。
     体力が戻ったところで互いに立ち上がり、剣と盾の応急処置を始める。作業の最中、シレンがしみじみと呟いた。
    「改めてアスカの力の強さには驚いた。俺だって剣の腕はあるつもりだが……攻めても勝てないと思ってな」
    「ま、まさか……傷だらけだったのは……」
    「ああ。防御と回避に専念した、と言うべきか。そうしなかったら、却って倒れていたかもしれない」
     言い放たれた言葉にアスカは唖然とした。剣士の風来人を名乗っているのだから、男性にも負けない腕は自負しているつもりだ。混乱状態だった故に、手加減も何もなかったはず。
     それをいなした、耐え切ったというのは、並の体力では出来ないもの。シレンがアスカの力の強さを認めたように、アスカもシレンの耐久力の凄まじさを認めざるを得ない。
     ――いや、お互いの強さなんて長い付き合い故にとうに分かっているのだ。それを再度認識した、それだけの事。そうなったきっかけだけは残念だが。
    「……受け止めてくれたのがシレンで良かったかもしれないでござる」
    「そうだろうか? ……そうかもしれないな。だが……やはり敵には回したくない、心底そう思った」
     こんな意図しない一騎討ちは懲り懲りだ。そう続けたシレンに、それは私も同意見だと、苦笑を浮かべながらアスカは応えるのであった。





    (……それにしても、)
     いつの間にか互いに歳を取ったものだ。アスカが唐突に、ぼんやりと思う。歳の差が縮まったりする事は当然ないが、一つ気付いた事がある。
    「どうした? アスカ」
     見下ろしていた目線が、段々と縮まっている事に。互いに成長期なんてとうに過ぎたと思っていたのだが――目の前の風来人はそうでもないらしい。もう少ししたら抜かされるだろうか?
     そんな事を考えながら、アスカはこう言った。その後に浮かぶのは、首を傾げる彼の姿だ。
    「ふふ……本当、不思議な男でござるな。シレンは」
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