お題:アイスコーヒー 連日の暑さから解放された、と言う意味ではプールでのトレーニングはありがたかった。こいつの提案だということで少し身構えもあったが、ただ単に自身も涼みたかっただけだったんだろう。
コンビニで買ったアイスコーヒーを片手に帰路に着く。夕方とはいえ濡れた髪も乾くほどの暑さの中、氷で冷やされた手が気持ちいい。ふと、悪戯心が湧く。
「冷たっ!」
少し前を歩く男の首に手を当てれば、飛び上がる猫のように大袈裟に肩が跳ねる。振り向いたその顔はとても恨めしそうで、普段から振り回されている身としては悪戯が成功して嬉しい。
仕返し、と言って首を触られたところで分かりきった行動に驚きはない。確かに熱中症の時は首を冷やすといいと言うよな、などとぼんやり思いながら効果を実感する程度だ。
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