(にいさんはどこに行ったんだ?)
トーマが訓練室を覗くとそこにはハーマンがいて、シュバルツの上着と思われものがイスに掛けてあるが肝心の本人は見当たらない。
「ハーマン大佐、シュバルツ大佐を見かけませんでした?」
「…私ならここだが?」
「にいさん?!」
ハーマンの後ろからひょっこりと出てきた兄シュバルツに驚いて声が裏返ってしまったのは仕方のないことだろう。すっぽりと、と言ってしまっては失礼かもしれないがハーマンの身体で隠れてしまっていたのだから。
「ぶふっ、…いてっ」
「で、なんの用だ?シュバルツ中尉」
ハーマンはシュバルツから脇腹に手刀を喰らったのか痛そうに摩っている。兄の存在に気づくことが出来なかった己のせいで、とほんの少しだけ悪い気もしたが余計な言葉は紡がないに限る。ハーマンの姿は数分後の己かもしれないのだから…
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