夕暮れと烏「どうだ、類!今日のオレも格好良かっただろう!」
「そうだね。ひとりでも動けるようになってるし、親方さまにも司くんの独断で動いてもいいか相談してみるよ」
任務終わりの帰り道。今日も結界に綻びがないか確認したり、外から侵入してきた妖を撃退したりと慌ただしく、殺伐とした時間を過ごしていた。
だがその任務が終われば、穏やかな日常に戻る。司の横を歩きながら、類は暑いから素麺でいいかなんて、夕飯のことをぼんやりと考えていた。
「今日の夕飯なんだけど……」
雑談に近いような、何気ない言葉を言い終えることはなかった。
ゆっくりと歩くふたりに向かって何かが接近していることを察知して、類はピタッと動きを止める。後ろを振り返っても誰もいない。しかし、地面を見ると何かの影が大きく跳躍して、そのまま類に斬りかかろうとしていた。
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