君を求む(氷潔♀️) 僕は、潔さん(君)を待っていた。
時候の挨拶だと、この季節は初秋というらしい。国語の授業で先生がそう言っていた。テストにも出るから要暗記とも。氷織は真面目なので、授業はきちんと聞いている。それが成績に反映されているかは別として。でも、両親は特に気にしないだろう。あの二人にとって、学校の成績よりも、サッカーの方が最重要事項だからである。
その日は監督の都合で練習がかなり早く終わってしまった。チームメイトは浮足立っていて、京都の街中に繰り出そうとしている。烏が先に誘われて、次に氷織にお声がかかった。
「俺は行かん。はよ帰ってエムワンの再放送が視たいんや」
「僕はええよ」
突き放すような口調の烏とは反対に、穏やか気味に返した。烏は着替えが終わるとさっさと帰ってしまった。ハメはずしすぎんなや~、と余計な一言を吐き捨てて。
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