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    イズナ

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    イズナ

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    ウルスラグナの誕生

    兄であるウルスラグナは優秀だった。一度やれば全てを理解できるし、再現できた。アレスはそんな兄を引き合いに出され毎日のように貶され、兄のようになれと圧迫され続けた。全てが終わってみてから考えれば、きっとそこでおかしくなってしまっていたのだろう。
    ある日、ウルスラグナが死んだ。優秀な兄の『中身』さえあれば良かった家族は兄の記憶やデータ、その本体である脳を取り出しオートマタへと埋め込んだ。そのオートマタはアレスそっくりの見た目に生前のウルスラグナの色を乗せただけの機械だった。
    両親は『優秀な跡継ぎ』が欲しかった。そこに愛情は無く、ウルスラグナの顔も再現できない程本体に興味が無かった。
    しかし問題は解決しなかった。オートマタとは『一つの命令に従い規則的な動きをする機械』である。ヒトのように思考したり学習したりすることがない。それは『優秀な跡継ぎ』には該当しなかった。
    そこで両親はオートマタに『アレスの言動を抑制し学習に従事させよ』と命令回路を仕込んだ。そうして行動抑制用オートマタ、ウルスラグナは完成した。
    ウルスラグナが持つ知識の全てを会得しろ、そしてそれを越えて生涯家に縛り付けられろ。そう言われて幽閉されたアレスは、暫くの間眠ることすら許されなかった。オートマタに睡眠の機能はない。なので生命に必要な睡眠を余分なものと認識し、眠ろうとするアレスを叩き起こしてしまっていた。『眠り』『食事』のようにヒトとしての生活に必要な要素は、知識ではなく身に染みた経験、常識であった。それらはオートマタに引き継がれなかったのだ。
    そして嫌気が差したアレスは、ウルスラグナの右目部分から内部の回路を弄くり回し、命令を『アレスに生じる障害を取り除き護れ』と書き換えた。良心が痛むこともなければしたり顔をすることもなく、ただそれが必然的な結果なのだと言うように、アレスは兄であったそれを改造した。
    その日よりウルスラグナはアレスを護る盾となった。第一命令は『アレスの守護、脅威の排除』である。手始めにそれ、、は最も身近な脅威を抹殺した。
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