墓囚短文②雑音が煩い。それは私の思考を妨げ、掻き乱す。私の最優先事項は発明だというのに、煩わしくてたまらない。
その雑音の原因は「彼」だ。いつからか、視界に入るだけで心臓の奥からノイズが聞こえるようになった。
うるさいうるさいうるさいうるさい
頭が割れそうに痛い
対応として私は自分の壊れた脳みそを利用することにした。
そう、彼の事を忘れてしまえばいいのだ。それは意外と簡単にできた。
だが、何度忘れても、暫くするとまた雑音がする。
そして、頭痛と共に、忘れていた彼の事を全て思い出してしまうのだ。
私が何度忘れても、彼はぎこちない笑顔で「初めまして」を何度も繰り返す。壊れた人形のように。
何度も何度も何度も何度も何度も!!
どうしてだ。もう、やめてくれ。どうしてなんだ。
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