太陽の匂いにキス「家、出たくない」
「お前はそういうヤツだよ」
背後霊の如く、カガリの背中にひっついているアスランは半分寝ている。寝台から出たくないのだ。背中からずり落ちながらもカガリの腰回りに抱き着く男は執着が強い。
「寝てろ、寝てろ」
楽しそうな声は、子供の頭を撫でるような調子だった。カガリはアスランの目にかかる前髪を指先で払い、円を描くようにして触れる。心地良さそうにまた目蓋が閉じていく様子を見て、カガリは寝たかな、と思った。起こさないようにゆっくり腕を外して立ち上がる。乱れた着衣を直して壁に掛けてある麦藁帽子を用意する。夕方だが日差しがまだ強いので被って行こう。
「行ってくる」
と眠るアスランの目蓋にカガリが口付けるとぱちりと目が開いた。寝てなかった。
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