「はぁ、それで……連続殺人と?」
「えぇ……それも、被害者が予測できない、いわば無差別なんです。手口は一貫していて、チェーンソーで切り裂かれていることが多いんです。行方不明者もいて、その人たちは遺体が見つかってないのですが、現場と思しき場所に血痕や髪の毛が落ちていたので辛うじて判断できるくらいで。私の娘も被害者の1人です。お願いします、探偵さん。私の……いえ、私たちの無念を晴らすためにも、ご協力いただけませんか?」
目の前の女は顔を手で覆い、肩を震わせている。娘の為にわざわざ郊外の、辺鄙な場所にある私立探偵事務所に転がり込んでくるとは相当な事か。いや、子供を思う親なら当然なのか。
私の所に舞い込んでくる事件の殆どは殺人だ。というのも、この世の秩序はないも同然。警察は存在するが、殆ど意味をなしていない。それが故か、この国には私立探偵が多く存在する。無論、私も例外ではない。その他頼りになるのは、精々自衛隊か、自警団くらいだろう。
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