「いいよ自分でなんとなくやるし。俺感覚派だから」
こいつの不真面目は今に始まった事ではない。しかし昼彦はこのあと妖刀契約者暗殺の任務を任されているのだ。斉廷戦争での妖刀契約者や六平千鉱と交戦する可能性がある。自分は刀剣を使わないとしても相手の戦い方を知っている方が戦りやすいだろう。それに昼彦の性格上、誰かの暗殺が成功し次第、妖刀で戦おうとするはずだ。やはり少しでも事前に剣術を身につけさせたい。
「うるさいな……。久々李真面目すぎてしんどいんだってば」
口論は加熱し互いの口調は怒気を帯びてくる。昼彦の丸い目は今は細く吊り上がり、小憎たらしさを増していた。
「ちょ、ちょっと二人とも。落ち着いてよ」
口論を近くで聞いていた昼彦の相棒は、どんどん語気を荒げていく俺たちに動揺し始めた。しかし俺たちはそれを無視して口喧嘩を続ける。
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