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    まる大根っ

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    まる大根っ

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    Wジュナオぐだ♀の現パロでクリスマスの話。
    神たるアルジュナはシロ。
    ヒトたるアルジュナはクロ。
    ぐだ♀はリツカ。

    三人だけの聖夜(Wジュナオぐだ♀)20××年12月25日 ×××家。

    「わぁ…! おっきいクリスマスツリーだ!」
    橙色の髪の少女は目を輝かせ、嬉しそうに言った。
    彼女の目の前には天井に届いてしまいそうな大きなクリスマスツリー。今は昼間だが赤や黄色など様々な色の電飾が輝き、木の根元にはラッピングされたプレゼントがたくさん置かれている。
    「うん。父さま…あ、サンタさんにリツカが驚くぐらいのクリスマスツリーが欲しいって頼んだんだ」
    少女の右隣にいる黒髪の少年が答えた。
    「リツカのプレゼントもあるってサンタさんが言ってた」
    少女の左隣にいる銀髪の少年がプレゼントを指差しながら言った。
    「えっ? わたしのもあるの?」
    「もちろんだよ。僕たちとリツカは家族だもん。サンタさんにリツカのプレゼントもお願いするのは当然のことだよ」
    黒髪の少年は笑みを浮かべながら言った。
    「そう。父さまと母さまもリツカの味方だよ」
    銀髪の少年も笑みを浮かべる。
    「だから、リツカ。僕たちはこれからもずっと、ずっと一緒だよ」
    「約束だよ?」
    黒髪の少年と銀髪の少年が同時に少女の両小指をからめた。
    「……クロ? シロ?」
    少女は戸惑いながら二人の少年を交互に見た。
    二人の少年から笑みは消え、少女を睨みつけながら言った。
    「約束、破ったらダメだよ」
    「約束、破ったら僕たちは許さない」
    返答しない少女を他所に二人の少年は睨みつけていた表情からにっこりと笑みを浮かべ、少女と指切りをした。
    「リツカと僕たちは、」
    「ずーっと一緒」
    「…………」





    20××年12月24日 ユガ高校 生徒会室。

    「……イルミネーション、ですか」
    「うん。今カルデア通りでイルミネーションやってるんだけどすっごい綺麗だよ。露店も色々あったし……年末までやってるけど、クロくんもクリスマスに行ってみれば?」
    「イルミネーションを見ながら露店も楽しむ……それは行かないともったいないですね。情報提供ありがとうございます」
    生徒会の書記を務める女子生徒から話を聞いた一年生生徒会代表、クロはお礼を言うと生徒会室を後にした。

    (……生徒会は色々な情報が入ってきて面白い。先程のイルミネーションはシロを誘って行ってみよう)
    行き違う生徒達から挨拶を返しながらクロは中庭へ向かった。

    中庭にも陽は当たるが、真冬の時期は生徒達は昼食を摂ったり談笑しに訪れない場所となっている。
    クロは「ふふっ。寒いなぁ」と呟きながら中庭へ入った。
    陽がちょうど当たる場所に一人の男子生徒がベンチに座り読書をしていた。
    「……シロ。ここで読書をしていたら風邪ひくよ?」
    声をかけられた男子生徒、シロは読んでいた本を閉じた。
    「……今の時間帯は寒くない」
    「そう? 私は寒いと思うけどなぁ。ここじゃなくていつもの場所で話そうよ」
    「……ココアを奢ってくれるなら移動する」

    二人はとある空き教室へ移動した。
    この教室はクロとシロ、一部生徒しか使えない秘密の場所で、二人きりで話す時はいつも使っている。
    「……イルミネーション?」
    クロに奢っでもらったココアを飲みながらシロは尋ねた。
    「うん。年末までカルデア通りでやってるんだ。露店もあるから行ってみようよ」
    「……二人で?」
    「……うん。本当はリツカと三人で行きたかったけど……」
    クロは寂しい表情を浮かべながら答えた。
    「…………これ」
    シロは制服のポケットからスマホを取り出し、ある画像をクロに見せた。
    「! これは……!?」
    画像には橙色の髪の女子学生と男子学生が写っていた。
    「えっ? リツカ……だよね? どこで撮ったの?」
    「一昨日。本屋の帰りに見かけた。その制服はカルデア高校。隣のヤツも同じ学校」
    「一昨日……どうして私に教えてくれなかったんだ?」
    「リツカ本人なのか確認に時間かかったんだ。ごめん」
    「いや、大丈夫。 ……私達が引越して十年。もうリツカに会えないと思っていたのに案外近くにいたんだね」
    「……でもリツカは約束を忘れている」
    シロは画像の男子学生の頭をぐっと指で押し込みながら言った。
    「……そうだね。私達三人の約束は絶対だ」
    「どうする、クロ」
    「ふふっ。シロと同じだよ」
    パキッとココアの缶を潰しながらクロは答えた。



    20××年12月25日 カルデア高校

    「じゃあリツカ。部活終わったら連絡するから」
    「うん、分かった。またあとで」
    男子学生Aと別れた後、リツカはカルデア通りに向かうためバスに乗った。
    (Aくんと初めてのイルミネーション……楽しみだなぁ。露店もあるって言ってたから食べ歩きもしたい)
    目的地まで三十分かかる。バスが出発するとリツカはカバンから参考書を取り出し読み始めた。



    『リツカ。僕たちは大人になってもずっと一緒だよ』
    『リツカ。離れても僕たちを忘れないで』
    『リツカ。僕たちを忘れないように約束しよう』
    『リツカ。僕たちを忘れたり、他の子を好きになりませんように』
    『リツカ。僕たちの約束を破ったら……どうしようっか?』
    『うーん……そうだね。僕はリツカの目をもらおっかな。ずーっと一緒に見れるし』
    『僕は指か手にする。一緒に触れることも出来るし』
    クスクスと二人の少年が嗤う。
    『じゃあ、リツカ。約束の指切りしよう』



    「いやっ!」

    リツカは自分の声で目を覚ました。周囲には乗客はおらず一先ず安堵した。
    (……嫌な夢)
    いつの間にか足元に落ちていた参考書を拾う。
    【次は終点カルデア通り~終点カルデア通りになります】
    バスのアナウンスが流れ、リツカはパスケースを用意し目的地に降りた。

    (……もう二人と会うことはないんだ。今日はAくんとイルミネーションを楽しむんだから……)
    カバンを強く握りながらリツカは集合場所のカフェへ向かって行く。



    「「リツカ」」



    「!?」
    後ろから声をかけられたのでリツカは振り向いてしまった。
    振り向いた先に黒髪と銀髪の男子学生が立っていた。
    「お久しぶりです、リツカ。私です、クロですよ」
    「……うん。リツカは変わらずリツカだ」
    「ダメですよ、シロ。まずは挨拶をしないと」
    「……クロ……? シロ……? えっ……えっ?」
    「無理もありません。あれから十年経ちましたから……リツカ、元気そうで何よりです」
    「……十年。ずっと待ってた。リツカ、どうして返事をくれなかった?」
    「シロ。その話はイルミネーションを見てからと決めたでしょう。今は再会の喜びを分かち合うんですよ」
    「……分かってる。でも……離れていても私はリツカの傍にずっといたかった。なのに、」
    「……えぇ。リツカ。貴方は私達の約束を忘れてしまったのですね」
    「そ、それは……」
    (……言えない。二人が怖くて手紙を出さなかったこと……!)
    「先に言いましょう。Aさんはリツカの元に来ません」
    笑みは消え、淡々とした声音でクロは言い放った。
    「えっ!? ま、待って! どういうこと?」
    「父様と母様に言って今日はカルデア通りのイルミネーションと露店を貸切にしてもらった」
    にこっと笑みを浮かべながらシロは言った。
    「リツカの話をしたら父様と母様も貴方に会いたいと言いまして……三人でイルミネーションを満喫した後、みんなでクリスマスディナーをしましょうと父様達からの伝言です」
    ふふっとクロは笑った。
    「リツカ。約束、覚えていますか? 」
    「約束を破ったら……ううん、今はクロの言う通り再会の喜びを分かち合おう」
    「そうですよ。さぁ、リツカ。一緒にイルミネーション会場に向かいましょう」
    クロとシロの背後にスーツを着た男女が現れた。
    「クロ様、シロ様。目標は予定通り片付けました」
    「ありがとうございます。父様達は時間通りに来ますか?」
    「はい。予定通りにお越しになります」
    「…………!」
    「さぁ、リツカ様。お二人とイルミネーションをお楽しみください。露店の代金はこちらで支払いますのでお好きなものをどんどん召し上がってくださいね」
    リツカの背後からスーツを着た女性が声をかけてきた。
    「露店も何があるか楽しみだ。では行ってきます」
    「……甘いものが食べたい」
    「クレープがあるといいね。リツカと三人で食べよう」
    両脇にいる大勢のスーツ姿の男女の道を通りながら三人は光り輝くイルミネーションへ向かった。

    光り輝くイルミネーションに反してリツカの顔面は蒼白になっていた(ハッピークリスマス)

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