目が覚めると、闇だった。
どうしてと思う暇もなく、喉からひゅ、と嫌な音がした。鈍い痛みが全身を貪っている。頭もくらくらする。それ以上に、暗闇が怖い。身体が震え始め、息が浅くなっていく。
「目が覚めたか?」
少し遠くで、声が聞こえる。誰かは分からない。分からないけど、辿って縋りたくなる声だった。涼しいようで暖かく、頼もしい。丸まった背中に手が置かれて、そのままゆっくりと撫でられる。
「あー、暗いの怖いんだっけ…ちょっと待ってろ」
微かに、光が現れた。少しだけ息がしやすくなって、僕は深くゆっくりと息を吸って、吐いてを繰り返す。僅かな灯りが、ごつごつとした床や壁を仄かに照らす。どうやら全て岩でできているらしい。
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