もやもやの正体「ナイルのところに行くのか」
〇〇はいつも一人で行く。
今度はナイルという人間のところに行っているようだ。
俺がどんなに手を伸ばしてもするりとその手をすり抜けて、自分のしたいことに向かっていく〇〇はカッコいいけれど少し…いや大分嫌だと思ってしまう。
何度言い聞かせただろう、
〇〇は人助けをしている、〇〇はどうしても話せない事情に首を突っ込んでいる、〇〇は親戚に会いに行っているだけ、だと。
何度言い聞かせただろう、
俺にだって秘密はある、と。
それでも、それでも………
ぐいっ
「…ダニエル」
「あ、いや…その、何でも。」
多分気持ちが言葉より行動に表れてしまったのだろう。
「そうじゃあ、またね。」
〇〇の服の裾を掴んだ手が、力を無くしてだらりと垂れた。
「〇〇っ、そのっ…今日は、やっぱり俺と魔法薬の材料を取りに行かないか」
「ダニエル、本当にどうしたの」
「いや、だから…」
どうして、こうも届かないのだろう。
このもやもやの正体が分かればもっとうまく伝えられるのだろうか…。