好きって言って欲しいんです。日向「〇〇さん、お願いがあるんですが…」
珍しく元気がなく肩にコツンって頭を乗せてくる日向くん。そんなに元気のない姿を見るのはなかなか無いものだから、すごくびっくりしちゃう彼女さん。
「どうしたんですか、日向くん。」
「1回だけ…好きって言ってもらえませんか…」
肩に乗せられた頭から伝わる熱で顔が赤いことが伝わってくる。
「好きですよ。凄く、凄く好きです。」
それに気づかないふりをしてそう口にすれば、ばっっと肩から熱が離れていく。
飛び退くように、離れた日向くんが「俺っ一回って言った」って勢いよく言うから「だめだった」って訊くと「駄目、じゃ無いけど…その…」思ったより嬉しくてどうしたらいいかわかんなくなる。
ストン、と隣に座り直しす日向くん。その後は2人でしばらく他愛もない話をする。
菅原「ごめん、一回だけでいいから好きって言って…」
廊下ですれ違いざまに手首を掴まれて「ぐえっ」って変な声が出ちゃう彼女ちゃん。
いつもなら、その声に反応して空いた手の甲で口元を隠して「ぐえって…」って笑う菅原さんだけど今日は違うようで「ちょっとだけ来て。」って声をかけてくる。
背中を追う感じでついて行くから表情も見えないし、何か怒らせるようなことしたっけなぁって不安になる彼女ちゃん。
人気のない所に来るとようやく一瞬目が合う。
でもすぐに向かい合う形でおでこを肩に乗せてくる菅原さん。
「どうしたのしんどい」
「…うん、しんどい。」
「うそっ、熱熱あるよ。」
「生きてるから熱はあるよ。」
「……菅原さん」
「……」
「菅原くん。おーい。」
「孝支くん。」
「…はーい。」
「何かあった」
「…うん、だから一回だけで良いから好きって言って…そしたら元気百倍だから。」
心の中では、あ、あ◯ぱ◯まんと思いつつかなり弱っているらしい菅原さんに「好きです。」って言うと、一度ぱっと離れまっすぐに目を見つめて「俺も」と言う菅原さん、「よーし、やんぞーっ」って両方の拳を高く突き上げながらにっこにこになる。
月島「……僕の気持ちは散々伝えた気でいるんだけど、いい加減君の気持ちも教えてよ」
こちらは、絶賛片想い中の月島くん。相手に伝わっていない片想いをしている月島くんです。
「えーっと…」
言葉があまりうまく伝わっていないから、女の子の目は月島くんから離れて山口くんを探しだす。
「…ねぇ。」
「ご、ごめん。よく分かってな「だからっ好きなんだって、」…」
珍しく声を張り上げて言葉を遮る月島くんに驚いてム◯クの叫びみたいな顔になっちゃう。
「………そんなに、嫌迷惑」
女の子の反応を拒絶と捉えて立ち去ろうとする月島くんの服の裾を掴んで「待って、す、きです。」と俯いて言う女の子に、振り向く月島くん。
「あ、でも、月島さんの好きよりお子様だと思うので、お、ともだちからで」
と、元気いっぱい言う女の子に、「僕も好きな子に好きっていうの初めてなんだけど。」って言う月島くん。
女の子が再びムン◯顔をすると、「その顔やめて。」ってほっぺをムニムニしてくる。
黒尾「別に本当に好きじゃなくていいから、嘘でいいから好きって言ってくんない」
こちらも絶賛片思い中の黒尾さん。
毎日毎日、さりげなくアプローチはしているものの全然気づかれていないから影で夜久くんに笑われたりもしてる。
粘りのネコの主将を務める黒尾さんだから全然余裕。
でも、あまりにも脈がないと感じると弱くなってしまう黒尾さんだといい。
「〇〇、ちょっと。」
おいでおいでしている黒尾さんに頭にハテナを浮かべながらついていくと、「悪いねぇ〜、ちょっと頼みたいことがあって。」なんてニコニコしながら言われる。
「どうしたんですか」って訊くと「その、嘘でいいから、別に俺のことどう思っててもいいから一回だけ、好きって言ってくんない」って泣きそうな笑顔で言ってくる。
「…」
「じゃないと、俺頑張れなくなっちゃうかもしんなくてさ。」
「黒尾さん、好きです。」
「うん、ありがとう。もう少しだけ頑張ってみるわ。じゃ「嘘でも、言われたから言ったわけでもなくて。」…は、え、嘘。冗談だよな」
「本当に。…黒尾さんの何となく好意にも気がついてました。ただ、恥ずかしくて…気づかないフリして」
そう言って俯く女の子のことを口を開いたまま見つめていて、反応をうかがった女の子がやっと顔を上げて反応を見ようとしてきたときにやっと我に返る。
「あの、…だ、きしめても良いですか」
「………はい。」
女の子の返事をもらってから震える手を伸ばして力強く抱きしめる黒尾さん。